増額に明確な道筋なし
経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)の発表によると、2007年のODA実績で、日本は前年比31.3%減の76.9億ドルとなり、前年の3位から5位に転落した。多くの国が前年に比べて伸び率がマイナス、あるいは鈍化しているが、日本の凋落ぶりは際立っている。アフリカ開発会議や北海道洞爺湖サミットを控え日本への“期待”も高まるなかで、この結果をどのように受け止めるのか。この問題に関心をもつ政治家たちに聞いた。
一人当たりODAでも下位に
DACの発表によると、2007年度のDAC加盟国(22カ国)のODA総額(支出純額)は、前年比0.7%減の1,036億6,000万ドルとなった。前年はナイジェリアなどへの債務救済額が大きかったこともあり、この減少が減額に大きく影響しているという。
国別でみると、1位は前年に引き続きアメリカ(217.5億ドル)で、ドイツ(122.7億ドル)、フランス(99.4億ドル)、イギリス(99.2億ドル)と続く。これらの国も、前年に比べるとドイツを除いて伸び率はマイナスとなっているが、イギリスと日本以外は下げ率(%)は一ケタ台。日本の31.3%減は際立つ。一方、日本に続く6位オランダ(62.2億ドル)、7位スペイン(57.4億ドル)とも前年より大幅に増額しており、日本がこのまま減額を続けると、これらの国にも抜かれてしまうという懸念も現実味を帯びてきた。
金額の実績とともに、国の経済規模に照らした援助の割合をみる指標であるODAの対GNI比(注:GNIは国民総所得)でも、日本は0.17%と22カ国中20位となり、これも昨年の18位より順位を下げた(22カ国の平均値は0.28%)。国連はODAの対GNI比を0.7%に引き上げることを目標としており、この指標でも日本の後退ぶりが明らかになった。
重要な国際会議控えマイナスの印象
今年、アフリカ開発会議(TICAD IV)や北海道洞爺湖サミットをホストする日本にとって、この減額傾向が国際社会に対してマイナスのイメージを与えることは必至である。他方、日本国内では財政再建が優先され、ODAは今後も2011年までは「骨太の方針」に基づき2-4%の削減が決められている。小泉首相(当時)が表明した「2004年より5年間でODAを100億ドル積み増し」という前向きな公約はあるが、現時点において具体的な増額のプランは出ていない状況だ。援助額の減少傾向を懸念する声は外務省や一部政界、メディアなどから散発的に聞こえてくるが、国内の財政事情が厳しいなかで、増額に対しては政治レベルでもコンセンサスが得られないのが現状である。
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こうした国際社会における日本の地位低下に関して、対外政策などに責任をもつ政治家はどのように考えているのだろうか。「ODA5位転落」を受けて、次ページから3人の国会議員に考えを聞いた。
(別ニュースにつづく)
『国際開発ジャーナル』2008年6月号掲載記事