政府に物申す開発コンサルタントへ

開発コンサルタントは政府の身内ではない
 2月に解散した外務大臣諮問機関の「国際協力に関する有識者会議」のメンバーは、学者、経済人、NGO、ジャーナリストで構成されていました。メンバー構成でNGO側から、報道する立場からジャーナリストはメンバー入れるべきではないという考え方が示されましたが、国民を意識した客観的な視線という点でジャーナリストの参加が許されました。

 しかし、私には不満がありました。ODAの現場からの意見という点で「なぜ開発コンサルタントの参加が許されないのでしょうか」と外務省側にたずねますと、「いや、彼らは身内みたいなものですから…」と答えました。たしかに、コンサルタントはJICAの実施段階での主役でもあり、彼らなくしてODA実施は一歩も前進しないことは明白です。その意味で、たしかにJICA同様に身内に入るグループかもしれません。
 しかし、彼らはODAの現場からODAの問題点も熟知しています。経済人がメンバーに入るならば、コンサルタントもメンバーになる資格は十分あるといいたいですね。
 それよりも、私はもっと重要なことを指摘したいのです。開発コンサルタントグループは、一つの立派な知的職能集団です。集団はコンサルタント倫理、哲学をもち、開発ノウハウの設計・実施を通して、途上国の国造りに貢献するという理想を抱いています。この集団は決してODA事業を推進するJICAの一部ではなく、逆にODA事業が効果的、効率的に実施されるようアドバイスする役割を担っています。
 この知的集団を単なる下請け扱いにしている日本政府の考え方に問題があります。しかし一方で、コンサルタント側にも大いなる反省が必要です。

開発コンサルタント側の反省
 それは第1に、納税者である国民を意識した社会観の欠如があげられます。日本国民、そして相手国民に裨益する知的貢献を誇りに、開発と環境、人権の両立に配慮した知的アドバイスを行う立場を忘れるべきではないと思います。だからこそ正当な対価をODAに求めることができるのです(しかし、政府は正当な対価に理解を示さず、モノ的に対価のダンピングを誘っています)。
 第2に、正当な対価を政府の誘導(?)でダンピングするような経営姿勢、経営哲学も問題です。コンサルタント側も経営スケールといい、適正な規模で適正な利潤の追求を行っているのか、海外志向の開発コンサルタント業はどうあるべきかを、世界観をもって考え直す時期に直面しているとはいえないでしょうか。
 第3に、利益追求主義にそって値上げを要求するだけでなく、もっと社会的使命感、あるいは世界的使命感をもって、政府に物申す開かれた社会的存在感のある発信塔(アソシエーション)を創設すべきだと考えます。理をもって闘う集団が必要ですね。私はそれを目下、構想しています。