ある会合で中国からの「農民年金制度」の研究要請が話題になった。その場に居合わせた旧大蔵省幹部OBの発言が面白かった。
「中国にとって開発資金はいくらあってもよい。国土と人口のことを思うと、一度走り始めた”経済発展”といううま味はもうやめられない。しかし、お金が欲しい。出来るならば安い金利のより長期の資金が欲しい。そこで考え出したのが養老年金をオトリにした農民年金制度を設けて幅広く年金資金を集めて、需要旺盛な開発資金に転用しようとしているのではないでしょうか…」。
その話を聞いていたもう一人の客人が、「日本もかつてはそういう発想で国民から年金を集めたのではないでしょうね」と言うと、隣の年長の人はいたって冷静に、「戦後の資金不足の時はそう考えるのが当たり前だよ。ただ、それを扱う役人たちが返済は50年先だといって、集めたお金を安易に管理し、安易に使ってしまった。そのツケが今の年金問題になっているのではないのかな」と自信ありげに語った。
話は本当かもしれないし、本当ではないかもしれない。ただ、中国は意外と日本の年金騒動にヒントを得て、農民年金制度を発想したのかもしれませんね。