感謝の気持ちを伝えたい~エジプトから「頑張れ!ニッポン」
2011年3月11日、東日本を中心とする震災が我が国を襲いました。“頑張れニッポン!”エジプトで「南南協力」に携わっていた松見靖子さんが、エジプトからの「エール」を伝えてくれました。
日本とエジプトの試練
2011年2月11日、エジプトは3週間に及んだ民主化運動の末、平和的な手段による長期独裁政権打倒に成功しました。革命の中心となったタハリール広場(自由の広場)を掃除する若者たちの姿は、世界中に大きな感動を与えたことだと思います。その歴史的瞬間に立ち会うことができた興奮も冷めぬ中、一ヶ月後には日本が未曽有の大災害に襲われてしまいました。
タハリール広場では、今でも金曜日ごとに集会やデモが続いています。長く独裁政治しか知らなかった人たちが、新たな国家建設に挑むということは、大変、困難な、長い道のりになるでしょう。そんなタハリールの群衆の中に、ひとり、日本の国旗を掲げる若者がいました。
「日本もエジプトも、今、大きな試練の時に立たされているんだ。だから一緒に頑張ろうという気持ちを伝えたかった。」
3月末、私は3年間住んだエジプトを離れました。エジプトでは「南南協力」と呼ばれる事業 -日本とエジプトが協力して他の開発途上国の人材育成を支援する「第三国研修」を担当していました。その事業のパートナーとして、一人の熱心なエジプト人教育者に出会いました。
現在、国立ファイユーム大学の学長として活躍するアハマド・エル=ゴハリ博士は、かつて日本で研修を受けた経験があります。その時、世界トップレベルの技術を持っているにもかかわらず、傲ることなく謙虚で勤勉な日本人の姿勢に大変感銘を受けたそうです。以来、日本の良き理解者として、エジプトだけではなく、広くアフリカや中東諸国の若い研究者の育成のため、第三国研修を通じて日本とともに国際協力事業を支援してきました。
今、エジプトも苦しい中で、長年にわたって支援を続けてくれた日本人の友情と恩に少しでも報いることはできないだろうか・・・。 ゴハリ学長をはじめとして、日本で学び、日本人をよく知っている人々が、遠いエジプトからメッセージを贈ってくれました。
エジプトからのメッセージ
スエズ運河大学、およびファイユーム大学の学生、私の家族、そして私自身のために、今、何か日本の人々ためにできることはないか、ずっと考え続けています。日本が大きな危機に直面しているときに、私たちにできることはわずかです。私が初めて日本を訪れて以来20年にわたって、日本の人々が示してくれた温かい友情と寛大な支援の恩に報いることはできません。私たちは、言葉に尽くせないほど、日本という国を尊敬し、感謝をしています。エジプト人だけではありません。日本から遠いアラブの国々で、たくさんの人々が日本のために祈っています。
アハマド・エル=ゴハリ博士 ファイユーム大学学長
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日本を襲った恐ろしい大地震のニュースに、誰もがショックを受け、心を痛めました。しかし、日本は必ず、もっと強くなって立ち直ると信じています。困難に出会うたびに、日本がそれに打ち勝ち、見事に復興してきたことは、歴史の事実です。この未曽有の悲劇でさえ、日本人の勇気と決意を、世界に示す「日本神話」として、後世に語り継がれていく日がくるでしょう。その日まで、世界中の何千何百万人もの人々が、日本がこれまで世界のために貢献してきたことへの感謝の気持ちを忘れずに、日本という特別な国のために祈っています。困難の時にも自制心と道徳を忘れない日本人の美徳は、人間社会のあるべき姿のひとつの範であり、世界はそんな日本を必要としているのです。
ムハマド・タウィーク・アハマド博士 スエズ運河大学医学部教授
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私たち家族は、日本に5年間住んでいました。たくさんの友人にも恵まれ、日本での思い出は、私たちの心の財産になっています。日本は私たちの第二の故郷で、日本人は第二の家族ともいえます。日本人は礼儀正しく、勤勉で忍耐強い国民です。今日の日本の発展は、そんな日本人の一人ひとりに支えられているのだと思います。私は、強い使命感を持った日本の人々が、この危機を乗り越え、より一層強くなって復興することを信じています。
日本を襲った大災害のニュースを聞いたとき、私の幼い娘は日本の友だちのことを心配して泣きじゃくりました。私たち家族全員、日本の人々には、どんなに感謝してもしつくせません。一日も早く、この危機を乗り越え、再び「日出づる国」にふさわしい勇姿を見せてくれることを祈っています。
オマル・ファティヒ・デスーキ博士 スエズ運河大学 医学部助教
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第二次世界大戦と原爆投下の悲劇の後、あっという間に復興し、世界の頂点に立って私たちを驚かせた「日本の奇跡」は、私にとっては大きな謎でした。しかし、初めて日本を訪れ、実際に日本の人々と接したことで、すぐにその理由が分かりました。日本人は、とても忍耐強く、賢明で、頼りになる人々です。日本の成功の秘密は、そんな日本人一人ひとりにあります。それはどんな破壊行為よりも、強靭なのです。私たちが、今、日本のためにできることは無に等しいかもしれません。それでも、これまでに日本が私たちに手をさしのべてくれた恩に少しでも報いたいと思っています。
ムハマド・マンスール・アッバス・イード医師 熊本大学大学院医学教育部
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スエズ運河大学で血液学の助教をしているアブダラ・ハシーシュです。今年1月から3月23日まで、文部科学省の学術交流事業で、熊本大学の医学部で研修を受けていました。わずか3ヵ月の滞在でしたが、日本でたくさんの友人にも恵まれ、忘れられない思い出ができました。
震災が日本を襲ったとき、私は熊本にいて、毎日ニュースを見ていました。エジプトに帰って友人から日本のことを聞かれたとき、私は「日本人を信じている」と答えました。「日本がこの災害を乗り越えることを、100%確信している」と。
どうか、この危機を一日も早く乗り越えて、日本の強さを私のエジプトの友人達、そして世界に証明してくれることを願っています。
アブドラ・ハシーシュ医師 スエズ運河大学医学部助教