日系企業のグローバル人材育成へ
<名古屋大学>

写真:国際開発研究科では、ニューヨークの国連機関を視察するスタディ・ツアーを実施している


名古屋大学大学院 国際開発研究科

1年制の新コースを設立

 日本初の国際開発分野の専門大学院として1991年に設立された名古屋大学大学院国際開発研究科。日本人はもちろん、世界86カ国・地域から学生を受け入れ、これまで約2,000人に上る学位取得者を輩出してきた同研究科は、来年度から新たなコースを立ち上げる。

 その一つが、「グローバル企業人材育成特別課程」だ。日系企業や行政機関に所属し、今後海外派遣が予定されている実務経験3年以上の若手・中堅人材を対象に、開発途上国や新興国へのビジネス展開に必要な専門知識を1年間で集中的に身に付ける修士課程コースだ。

 国際開発の世界では、途上国開発に貢献する民間企業の存在感が日増しに大きくなっている。また、日本でも国内市場の縮小に伴い、中小企業を含めた多くの日系企業が開発途上国への進出に意欲的だ。その一方で、現地の政治・経済事情や法制度、商慣行などへの理解不足から苦戦を強いられる企業も少なくない。

 そこで、このコースでは、海外展開を睨む日系企業の人材に対して産業開発や国際経済法、国際人口移動論など多種多様な授業機会を提供する。同コースに入学した学生は、これらの授業の中からそれぞれのニーズに合った授業を選択し、カリキュラムを自由にカスタマイズできるのが大きな特徴だ。授業は全て英語で行われ、同研究科の学生の6~7割を占める留学生たちと切磋琢磨する中で、実践的なコミュニケーション能力を鍛えることもできる。

 同コースは、初年度は若干名を募集する。科の岡田亜弥教授は、「名古屋大学のある中部地方は、世界屈指の産業集積地だ。地元の中堅・中小企業に在籍するの育成にも貢献していきたい」と話す。

国際機関への就職も目指す

 国際開発研究科は、このほかに「グローバルリーダーキャリアコース」も新設する。これは、国連をはじめとする国際機関への就職を目指す学生を対象に、通常の修士課程に10単位分の実践的なカリキュラムを追加するというもの。国際協力の第一線で活躍する国際機関の職員による特別講義や、国際機関でのインターンシップ、国際機関への就職に向けた面接指導などのきめ細やかな指導を行う。

 国際開発研究科に入学した学生のうち、実務経験2年以上、TOEFLのiBTが85点以上の学生を若干名選抜する予定だ。修士号を取得後すぐにジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)制度をはじめとする採用試験に挑戦し、国際機関への就職を目指す。岡田教授は「高い学費を払って欧米留学しなくても国際機関にきちんと就職できるよう、道筋を示していきたい」と意気込んでいる。

『国際開発ジャーナル』2017年11月号掲載
#大学の国際化最前線 #名古屋大学大学院 #国際開発研究科

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