【東海大学 農学部】「日本の食料基地」九州で 小規模農業の現状や課題を知る

阿蘇くまもと臨空校舎の完成イメージ
 
最先端の農業ICT も学ぶ
1980年、熊本県において初の4年制大学農学系学部として、九州東海大学農学部が誕生した。東海大学を創立した松前重義博士が同県の出身ということもあり、「熊本に農学系の教育施設を作ってほしい」という住民の要望を受けて設置された。その後、同大学は東海大学と統合し、東海大学熊本キャンパスとなっている。
熊本県の農業産出額は、2020年の統計で全国5位。鹿児島県が2位、宮崎県が6位にランクインしており、今や九州は「日本の食料基地」とも言える。「農業の現状を肌で感じ、課題や展望について研究する上で、九州は最適な立地だと思います」と、農学部の岡本智伸学部長も強調する。また、「熊本県を含めて、九州は小規模な家族単位のスモール・スケール・ファーミングが一般的です。このため、そうした農家と連携した実用的な研究や、その成果を活かした実践的な教育を推進するモニター農家制度もあります。農業への最先端の情報通信技術(ICT)の応用なども、学部間で連携して進めています。同じくスモール・スケール・ファーミングが主流のアジア・アフリカ諸国への貢献にもつながるのではないでしょうか」とも語る。さらに、九州は他のアジア諸国と地理的に近く、アジアの玄関口でもある。そうした環境もあり、同学熊本キャンパスは九州東海大学の時代からタイ、フィリピン、インドネシアなどの提携校と、持ち回りで定期的に「アジア農業シンポジウム」を開催している。
 
東南アジア屈指の農業大学とも連携
これらの提携校とは、学生や教員の交換派遣制度もある。年に3人ほど大学院生(修士)が熊本に来て、1~2カ月ほど同キャンパスで学ぶ。「2018年には、東南アジア屈指の農業系大学と言われるボゴール農科大学など、インドネシアの2大学と新たに学術交流協定を結びました。農学部にも現在、中国人を中心としたアジア諸国からの留学生が15人程度います」(岡本学部長)
同キャンパスが2016年の熊本地震で被害を受けたこともあり、東海大学では現在、熊本空港に隣接していた同大学宇宙情報センター(益城町)の敷地内に移設工事を進めている。2023年4月をめどに、同地に「阿蘇くまもと臨空校舎」を開設し、農学部の機能の大半を移転する計画だ。牧場や温室も含めた実習用施設を充実させるだけでなく、非常用発電機、一時避難所を設けるなど、災害にも備えながら「日本で一番、空港に近い」キャンパスという利点を留学生にもアピールしていく。
 
[2022年国際開発ジャーナル2月号掲載]

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