世界を目指す学生の課題解決力を養う
<学習院大学>

写真:ネイティブの英語教員であるマーチャンド・ティム准教授による語学授業の様子


学習院大学 国際社会科学部

52年ぶりに新学部を創設

 1847年に京都で開講された「学習所」を起源に持つ学習院大学は、2016年4月、52年ぶりに5つ目となる学部「国際社会科学部」を開設した。法律・経済・経営・地域研究・社会学など、社会科学の5分野と英語教育を融合した国際系学部である。

 国際系の学部といえば、コミュニケーションや文化理解を特色とする学部・学科が多い。しかし、国際社会科学部は、学習院大学がこれまで社会科学系の教養教育に取り組んできた伝統と強みを生かし、社会科学の領域に特化した学びを提供している。将来的には、国際協力や国際ビジネスなどで活躍する人材育成を目指す。

 同学部の牧田りえ教授は、「この学部で学ぶ4年の間に、世界中どこでも通用する課題発見・解決能力を身に付けてもらいたい。さらに語学力も卒業後に海外の大学院にもすぐに進学できるレベルにまで高められるようサポートする」と話す。

学ぶ英語から使える英語へ

 国際社会科学部は、社会科学の専門科目と連動させながら独自の英語教育を実施している。1年次は専門科目を日本語で学ぶが、2年次からは段階的に英語での授業が行われ、3年次から全ての授業が英語で実施される。牧田教授は「日本の高校を卒業したばかりの学生にとって、いきなり全ての科目を英語で学ぶのは難しい。段階的な語学学習の場が必要だ」と指摘。「初めのうちは学生たちが授業について来られるよう、授業の終盤に日本語でフォローアップを加えるなど、工夫を凝らしている」と続ける。

 英語の語学授業には、「CLIL」(クリル)と呼ばれる、専門科目の理解に必要な4技能(読む・書く・話す・聞く)を高める語学学習の手法を採用。専門科目に頻出する語句の習得や関連トピックを英語の語学授業に取り入れ、英語で行われる専門科目の授業の理解を補助するための「ブリッジ科目」も設けている。「英語はあくまでツールであり、英語で話される内容を理解し、自分の考えを伝えられることこそが重要。学部の授業全体を通じて専門分野で議論できるだけの英語力を養っていくのが目標である」(牧田教授)との考えからだ。

 このほか、国際社会科学部のカリキュラムには、4週間以上の海外研修が必修として組み込まれている。同学の提携先(14カ国・地域61校)以外にも、独自の留学先を選べ、2017年12月現在、1、2年生453人の在学生のうち、170人の学生が海外で学んでいるという。海外研修前後には、研修に必要な予備知識を習得する授業や、留学体験を学生同士で評価・シェアできる授業も必修で用意されており、各学生が得た知見を十分に生かせる教育を目指している。

『国際開発ジャーナル』2018年1&2月号掲載
#大学の国際化最前線 #学習院大学 #国際社会学部

コメント

タイトルとURLをコピーしました