多文化共生を目指して国際研修・交流に注力
2022年3月に45周年を迎えた日本国際協力センター(JICS:ジャイス)は、使命として「わが国と諸外国との互恵関係の強化に資する事業を通じて、国際社会の発展に寄与する」ことを掲げている。開設当初は、開発途上国の人材育成支援を主な業務としていたが、現在の事業対象地域は先進国を含めた国際社会全体まで拡大している。
日本の大学院などで学ぶ留学生の受け入れ支援事業や、海外の行政官などを招いて行う国際研修事業、学生や若手社会人を対象とした多文化共生事業や日本語教育事業をはじめ、人材育成分野の事業を中心に手掛けることで、持続可能な開発目標(SDGs)達成を目指している。
JICEの特徴は各種事業において、調査から企画、コンサルテーション、運営、評価までを一体管理し、対象者の特定課題や日本の強みに関する学びを最大化させることだ。日本語や日本文化、ビジネスマナーなどに関する研修や体験活動を行うだけでなく、長年にわたる日本語教育事業の経験を集約し、日本語教材「はたらくための日本語」を開発・発刊した実績もある。
求める人材は、自ら考え働き、困難な状況においても前向きに道を切り開いていける人。職員以外にも、期限付き職員、コーディネーター(通訳兼研修ファシリテーター、登録制)、日本語講師(登録制)も募集している。
当社の“2030年構想”
さらなるDXの推進で
効率的な仕事と
気候変動対策を進める
コロナ禍を機にテレワーク環境を整えるため、情報システムのクラウド化に着手。加えて電子決裁システムやウェブ会議システムを導入しました。これにより、各事業でオンラインでのプログラム実施が可能となったほか、基幹事業である人材育成奨学計画(JDS)では、従来紙で受け付けていた留学生の応募受付をやめ、オンラインの応募システムを導入。2カ国での試行を経て、段階的に他国にも展開予定です。
今後も効率的な仕事環境を整備し、スタッフの通勤にかかるエネルギー消費の抑制や、温室効果ガスの排出を抑えるペーパーレス化をさらに推進します。
社員さんに聞きました
多彩な「人づくり」
寄り添い、理解し、共感し
成長に関われることが魅力
国際協力のきっかけは大学を休学しタイに滞在したことです。3年次が終わった直後、チェンマイの孤児院に頼み込み、住み込みのボランティア活動をしました。子どもたちとのぶつかりあいや、現地スタッフとの協働を通し、人の成長に携わることの難しさと、寄り添い続けることの大切さも感じました。
大学卒業後、国際協力を軸にJICEを選びました。初めの3年程、アジアから来日した青少年と日本の高校生との交流やホームステイの調整などを行いました。アジアの青少年と日本人が、心を通わせ、別れを惜しみ涙する姿を現場で何度も見てきました。
JICAや地方自治体が行う国際研修(漁業、水道分野など)の運営にも携わりました。講義や視察の準備の傍ら自分も知識を蓄え、さまざまな国の行政官の課題を理解しファシリテーションすることで、各国の行政官は改善策を見出すことができました。
現在担当する留学生受入支援事業では、多くの帰国生が政府要職に昇進しています。JICEが留学生の募集選考から、滞日中の学業・生活面まで手厚くサポートしたことが、帰国後の活躍につながっています。
略歴
・21歳:在学していた東京外国語大学を休学し、タイ・チェンマイの孤児院で支援活動
・23歳:大学を卒業して約1カ月後、JICE入団。国際交流部に所属
・26歳:JICAザンビア事務所に出向。案件形成・管理や本邦研修の業務にあたり2年半後に復職
・35歳:留学生事業第二部(ABEイニシアティブ募集選考担当)、中部支所勤務を経て、現職に就任
会社データ
・名称:一般財団法人 日本国際協力センター(JICE)
・設立:1977年
・基本財産:10億円
・職員数:285人(2022年4月現在)
・本部:東京都新宿区
・支所:北海道、東北、中部、関西、九州
・海外プロジェクト
※事務所:アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、カンボジア、キルギス、ケニア、スリランカ、タジキスタン、中国、パキスタン、バングラデュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ベトナム、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオス
・住所:〒163-0716東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル16F
・Tel:03-6838-2700
・Mail:saiyo@jice.org
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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