大学の国際化最前線|杏林大学 総合政策学部 グローバル・キャリア・プログラム

ネイティブ講師の授業や留学で“働く手段”としての英語スキルを

英会話教室とも提携

 杏林大学のグローバル・キャリア・プログラム(GCP)は、総合政策学部の4年制プログラムとして2016年に開講した。国際協力の分野で働くために必要とされる「TOEICスコア600点以上」を目指すだけでなく、論理的思考やビジネス会話、ディスカッション(討論)を英語でこなせるスキルの習得に力を入れているのが最大の特徴だ。同プログラムを担当する三浦秀之准教授は、「GCPでは、英語をグローバル社会で活躍するため、そして社会科学を学ぶためのツールと捉えています」と強調する。

 学生は入学直後からネイティブの英語教員に指導を受けるだけでなく、大学と提携しているオンラインの英会話学校で学ぶことも必修となっている。「1年次の秋ごろに英語でプレゼンテーションを行い、2年次以降は経営・経済・国際関係などの専門科目を英語で学んでいきます。留学も強く推奨しており、単位も付与するので卒業が遅れる心配はありません。専門科目を英語で学ぶため、欧米やタイの大学を留学先に選ぶ学生も多いです。ただ、2020年はコロナ禍により、米ポートランド州立大学と提携してオンライン留学を実施しました」(三浦准教授)。

2022年度から入試制度を変更

 特徴ある授業には、「グローバル・キャリア・ディベロップメント」と「ブリッジ科目」がある。前者は授業中に国際協力機構(JICA)の職員、海外展開している民間企業の社員、大使館員などを招いて講義してもらう授業だ。学期中に10人のゲスト講師が登壇する。後者はビジネス英語のスキルを高めるのが目的で、英語を教える教員と専門科目の教員が協働してライティングやディスカッションなどの授業を行う。

 GCP第1期生25人は、2020年3月に卒業した。当初英語に苦手意識を持っていた学生がTOEICスコア600点以上を全員クリアし、中には800点を超えた人もいる。「留学で自信がついたと言う人もいます。卒業生のうち20人以上は国際的な事業を行う企業に就職しました」と、三浦准教授は成果を語る。

 GCPへの入学制度は、22年度に大きく変わる予定だ。それまでは総合政策学部に入学した直後の選考会でGCP受講者を決めていたが、AO入試の中にGCP入学の専用枠を新たに設ける。「GCPで学びたい」という意欲ある学生を迎え入れるためだ。加えて、選考の際には「TOEICスコア350~400点」を基準として設ける。進級時にも語学力の基準を設けるという。

 22年度ではこのほか、NPO法人と提携して夏休みや春休みの間に海外でボランティア活動やワークショップを行う計画もある。卒業生と在学生との交流も積極的に進めるなど、GCPの質をさらに高めていくつもりだ。

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

 

『国際開発ジャーナル2021年5月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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