国際的な環境で次世代を育てる
修了生の多くが国際協力の分野で活躍中
領域横断的な学びで専門性に磨きを
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(GSAPS)は、1998 年の設立以来、国際協力の世界で活躍するリーダーを多く輩出してきた。修了生の多くは、国際機関や官公庁、グローバル企業、研究機関などに務めている。
掲げる基本理念は、「アジア太平洋を中心とする地域の歴史、政治、経済、産業、経営、社会、文化および国際間の諸問題を、グローバルかつ地域的な観点から学際的に研究するとともに、その研究成果を社会に還元できる高度な専門知識をもった職業人を養成し、広く人類社会の発展に寄与する」だ。この理念を実現するため、「地域研究」「国際関係」「国際協力・政策研究」の3領域を設けつつ、学生は自身の関心、専門性によって一つの領域に中心をおきながら他領域の科目も履修する。自由にプログラムをデザインすることで、多様な角度から観察や分析する力を身に付ける。
学生の約85%を占める留学生、海外プログラムも幅広く
GSAPS の学生は、約 85%が留学生で、40を超える国・地域から集まる。ほぼすべての授業が日・英語の両方で提供され、科目によって言語を選択する。いずれの言語でも学位取得可能で、留学生と共に、多国籍・多文化の環境下で学ぶことができる。
学内において、国際的な学習環境を整備するとともに、交換留学や海外フィールド・リサーチ補助金制度など、実際に海外で経験を積む機会を支援する制度も設けている。中国の北京大学などアジア太平洋地域のトップスクールと交換協定を締結しており、1 セメスターの留学も可能。また、2020 年からはベルギーのブリュッセル自由大学とのダブルディグリープログラム( 修士 ) を導入した。さまざまな学びを選択しやすい制度を準備し、学生の挑戦を支援する。
Teacher’s Voice
主体的かつ対話的な学びの場を創る
私のゼミでは、学問を通じて世界の環境問題や貧困問題の解決を目指し、持続可能な地球社会の創造に向け、考察を深めています。世の中の社会課題に立ち向かう基本は、科学・政治(政策や行政)・社会(市民社会や地域)の協働がどうあるべきかを考えることです。
留学生を含めて、おのおの思いを持って入学してきた学生たちに、私の知識を一方的に伝える教育は行いません。学生にはできるだけ「主体的かつ対話的」な学びをしてほしいと考えており、留学生とも進んで対話する経験を積めば、グローバルな課題・難題に直面しても自分なりに考え、挑む力が付きます。
例えば、気候変動問題を考えるとき、日本国内は昔から災害が多く、海外と比較して課題を実感しにくい状況があります。そういったギャップが存在する社会課題は、特に内向きの思考になりやすい。そんなとき、私の授業では学生が発表・主張する場を設け、周りの学生と議論し刺激し合う環境を作っています。GSAPSの多国籍な環境は、必然的にそうした場を作り出しますし、本学には特に主体性が強く、そういった「きっかけ」から自身で努力し周りと切磋琢磨し合える学生が多いと感じています。
現在、世界に目を向けると、ビジネス界でも修士課程や博士課程を経た人が活躍するような世の中になってきました。残念ながら、日本国内では博士課程進学者が減少傾向にあり、大変深刻な問題と考えます。GSAPS も創設から 25 年近くたち、激動の国際社会の中でどう特色を出すか、どう制度改革を行うか考える時期に来ています。日本人学生にとっても研究しやすい大学院を目指しているところです。
GSAPS には、さまざまな経歴をもつ教員が揃っているので、特に「日本から世界を変える」という強い志のある日本人学生に来てほしいと、強く期待しています。
Student’s Voice
日本のエネルギー政策を転換したい
「自動車の環境規制」をテーマとして大学の卒業論文を書いた際に、松岡先生の論文を読みました。気候変動対策が世界各国で叫ばれていた時期でもあり、環境政策が政治・社会・経済など複合的な要素で決定されることを松岡先生の論文から知ったことで、「この先生のゼミで学びたい」と思い、GSAPS に入学したのです。
日本はエネルギー源となる化石燃料を輸入に頼りながら、太陽光・風力など再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入が他の先進国に比べて進んでいないという問題を抱えています。その障壁となっているものは何か、ドイツ、北欧など再エネ導入が盛んな国の実例をどう活かすかを追究し、日本のエネルギー政策の転換を進めたいと考えています。
早稲田大学には環境・エネルギー関連の授業もあり、グローバルエデュケーションセンターが開設する「カーボンニュートラル技術概論」では、近年にどのような技術が生まれ、日本をはじめ各国でどう実装されているかを学ぶことができます。文系出身の学生もいるし、むしろ留学生が多く日本人学生は少数派ですが、多様な意見が聞けるのは GSAPSの大きな強みだと思います。
修了後は大手商社に就職する予定です。資源・環境分野に強みがあるうえ、消費者目線でビジネスを進めているところに魅力を感じました。GSAPS で学んだことを生かして、再エネや次世代エネルギーを中心に実用化やビジネス拡大を目指していきたいです。
さらに、人口が増え続ける途上国でも再エネは求められているはずです。将来は、そうした国々に日本ならではの最先端技術や、エネルギー政策のロールモデルを広めていくのが目標です。
NEW‼!コンテンツ
教員の声を通じてGSAPSの学びの魅力を体感してください! デジタルブック・インタビュー動画がご覧いただけます。
Check!! 早稲田大学大学院アジア太平洋研究科奨学金
日本人の修士課程入学志願者を対象とした給付型奨学金の制度があります。
・募集人員:3名(4月入学・9月入学の合計)
・奨学金:140万円支給
※詳しくはこちら
国際協力特別推薦入試
JICA海外協力隊、外務省専門調査員、在外公館勤務経験者、国連職員を含む国際公務員、国際NGO、海外でのCSR活動、その他国際協力に関する機関などで、海外における1年以上の国際協力活動の経験を有する日本人、または特別永住者を対象とした入試。
【入試実施回数】年2回
【入学時期】4月、9月
■アジア太平洋研究科国際関係学専攻(修士課程:MA) 入試日程(一般入試・国際協力特別 推薦入試)
入学時期:2024年4月入学
・出願期間:2023年8月28日(月)~9月6日(水)
・合格者発表:2023年11月24日(金)
・入学手続締切日:2023年12月14日(木)
入学時期:2024年9月入学
・出願期間:2024年3月下旬~4月上旬(予定)
・合格者発表:2024年6月上旬(予定)
・入学手続締切:2024年6月中旬(予定)
※書類審査による選考
■アジア太平洋研究科国際関係学専攻(博士後期課程:Ph.D.)入試日程(一般入試)
入学時期:2024年4月入学
・出願期間:2023年8月28日(月)~9月6日(水)
・第一次合格発表者:2023年11月8日(水)
・第二次選考期間:2023年11月9日(木)~11月16日(木)
・最終合格者発表:2023年11月24日(金)
・入学手続締切日:2023年12月14日(木)
入学時期:2024年9月入学
・出願期間:2024年3月下旬~4月上旬(予定)
・第一次合格者発表:2024年5月中旬(予定)
・第二次合格者発表:2024年5月中旬~5月下旬(予定)
・最終合格者発表:2024年6月上旬(予定)
・入学手続締切日:2024年6月中旬(予定)
※この期間にオンライン会議システム等による面接審査を実施します。第一次選考(書類審査)合格者のみが第二次選考の対象となります。
問い合わせ
〒169-0051 東京都新宿区西早稲田1-21-1 早大西早稲田ビル7F
TEL:03-5286-3877
FAX:03-5272-4533
E-mail: gsaps-admission@list.waseda.jp
『国際開発ジャーナル2023年8月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)
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