株式会社国際協力銀行(JBIC)|国際協力に携わる企業(21-22)

日本と世界、官と民をつなぐ唯一無二の組織

 国際協力銀行(JBIC)は、民間の金融機関が行う金融業務を補完する政策金融機関。日本政府が全株式を保有しており、「日本の力を、世界のために」をコーポレートスローガンに掲げ、①日本の産業の国際競争力の維持および向上、②日本にとっての重要な資源の海外における開発及び取得の促進、③地球温暖化防止などの地球環境の保全を目的とする海外における事業の促進、④国際金融秩序の混乱の防止またはその被害への対処という四つのミッションの下で、日本と国際経済社会の健全な発展に貢献することを目指して業務を行っている。

 金融スキームとしては、融資(輸出金融、輸入金融、投資金融、事業開発等金融など)、出資、保証、貸付債権の譲受などがある。メガバンクとの違いは、リスクの高い国・地域までカバーし、民間企業だけでは対応が難しいファイナンスを政府金融機関としてサポートしていることだ。国際協力機構(JICA)との違いは対象国の発展フェーズにある。JICAが社会インフラなどの基盤整備した後に、JBICは投融資を通じた日本企業の現地ビジネスをサポートし、その国の発展を加速させる。

 今後は持続可能な開発目標(SDGs)・脱炭素社会の実現に向けたイノベーションやエネルギー変革、デジタル変革を見据え、エネルギー変革への対応、日本企業の海外インフラ事業への参画支援、デジタル変革に向けた日本企業のM&Aなどに注力していく。

 日本と世界、官と民をつなぐ役割を担うJBIC。2020年度末の出融資・保証残高は15兆7448億円。これを担う松陰は650人余り。職員一人が担う仕事の壮大さがうかがえる。

Infomation

 大学院の全学部全学科を対象として新卒採用・大学を行っている。業務の性質状、語学力、法律、経済などの専門知識はあるに越したことはないが、その他のさまざまな強みを重視して人材を採用していくという。2021年度の採用実績は、総合職22人、業務職(転勤なし)9人。総合職の勤務地は東京本店、大阪支店の他、海外の17の駐在員事務所となる。

 組織として「働き方改革基本計画」を策定するとともに、職員がおかれた環境に関わらず自分の能力を最大限発揮し活躍できる制度を整えている。例えば、育児・介護と仕事を両立する職員に対する休暇制度やサポート体制を設け、柔軟な働き方を支援している。

アンゴラ・ナミベ湾全景

アンゴラ・ナミベ湾全景

Staff Voice

宝蔵花穂さん(資源ファイナンス部門 天然ガス部・石油 第3ユニット)

宝蔵花穂さん(資源ファイナンス部門 天然ガス部・石油 第3ユニット)

環境・金融・海外の拠点

 自然豊かな場所で育ったこともあり、昔から環境と開発のバランスや、海外への興味がありました。また、大学2年生でタイへ留学した際、フィールドワーク先で公害や労働搾取など開発の負の側面を目にしたことで、このような課題解決に貢献したいと改めて思うようになりました。高校時代に金融クイズ大会に参加するなど金融にも縁があったので、お金の流れが変われば社会も変わるのではないかと考え、これらの分野へアプローチできるJBICを志したのです。

 現在は営業部である石油・天然ガス部に所属しており、主にアフリカの政府向け輸出金融やアンタイドローンを担当しています。

 仕事は、融資済み案件の管理と新規案件組成の二つがあり、新規では今年3月にベナン政府向け融資を初めて担当者として承諾しました。JBICの融資は基本的に日本企業の輸出や投資を条件とする「タイド」なのですが、これはそれを求めない「アンタイド」であることが特徴です。初のベナン政府向け融資であり、環境・社会的なインパクトの大きい案件に融資していく枠組みでもあります。SDGs投資の潮流を組み、今後さらなる案件組成が見込まれる分野です。

業務風景

業務風景

裁量の大きさが魅力

 若手職員でも裁量が大きいのがJBICでの仕事の面白いところ。各案件の融資額も大きく、営業部では1年目でも主担当として案件に関わります。もう一つの魅力は、ある国が援助から民間投資へ移行する段階において、持続可能な発展を支える存在であり、国際協力で欠かせない役割を果たせることです。

 今後は小規模でも社会的インパクトの大きいオフグリッド電源や金融包摂といった分野の案件組成、また、出融資の意思決定プロセスについて理解を深め、現場のニーズに対応した枠組みづくりにも携わっていきたいです。

 国際協力業界を目指すなら、憧れやイメージにとらわれず、自分がそこで何をしたいのか見極めることが大切だと思っています。選択肢が多く迷うかもしれませんが、いろいろな経験をしながら実践と内省を繰り返し、納得できる道を探していってほしいです。

Career

・2015年:九州大学21世紀プログラムで環境経済学、開発経済学を専攻
・2017年:大学2年次にタイのマヒドン大学に留学
・2019年:九州大学卒業
・2019年:JBIC入行。石油・天然ガス部第3ユニットに配属

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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