実務経験豊富な教員と共に
東アジアの玄関口で学ぶ
国際政治・国際経済など多分野に対応
1963 年、新潟市に県立新潟女子短期大学が開校した。家政科、幼児教育科及び英文科に次いで、日本海を挟んで中国、ロシア、韓国と向かい合う「東アジア交流圏の玄関口」である新潟の地理的条件を生かし、国際関係の教育・研究を行うため、93 年に国際教養学科を開設。同学科は同短期大学が共学の新潟県立大学として生まれ変わった 2009 年に、英文科、生活科学科の一部とともに改組されて国際地域学部となり、15 年に大学院国際地域学研究科が新設された。
同研究科は政治・経済など広い視野で国際関係を理解し、多言語によるコミュニケーション能力を備えた、世界に通用する人材を育てることを目指している。このため多様な専門分野、バックグラウンドを持つ優れた教授陣が揃う。例えば国際開発政策などの授業を担当する伊藤晋研究科長は、国際協力機構(JICA)の職員としてフィリピンやケニアへの赴任経験があり、多くの ODA 事業に携わってきた。
カリキュラムには、「国際社会」「地域国際関係」「地域(各国)研究」の3つの科目群がある。国際社会の科目群では国際政治・国際経済・国際ビジネスなどを一挙に学ぶことができ、幅広い研究分野の学生に対応できるようにしている。「地域研究では東アジアなどを重視する一方、新潟の企業や自治体が持つローカルな技術・知見を国際協力に生かす『グローカル』な視点で行う授業もあります」と伊藤研究科長は語る。
研究発表会には教員が全員参加
授業の多くは英語で行われ、英語のみで修士号を取得することも可能だ。そのため日本人学生が「留学生と学びたい」とのモチベーションから英語での授業を受けることも多い。留学生については、コロナ禍で日本に再入国できない学生にオンラインで指導を続けている。
このほか、院生共同研究室と教員の研究室が近く、互いの交流が活発なのも同研究科の利点。「年に数回の研究発表会では研究科の全教員が出席して、指導担当でない学生にもきめ細かなアドバイスを行っています。国際協力の現場では、論文に書いてあることをそのまま生かせない場合もあり、現場を知る教員のアドバイスが助けになるでしょう」と伊藤研究科長。
社会人学生にも配慮しており、秋入学制度を設けているほか、平日の 18 時以降や土曜日に授業を開講したり、2年分の授業料で3年間在籍できる「長期履修制度」を設けたりしている。さらに、学部在籍時に申請して大学院の一部の授業を受けることで、大学院を最短1年で修了できる学内進学者向けの制度もある。さまざまな学生のキャリア形成のニーズに応えられる制度を整えており、県外からの受験生も多い。
※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。
『国際開発ジャーナル2021年8月号』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)