大学の国際化最前線|東京成徳大学 国際学部|国際協力が学べる大学・大学院

1年次から全員が留学
業務で使える語学力を習得

100周年を前に新学部設置

 東京成徳大学は、1926年に実業家で国会議員も務めた菅澤重雄によって創設された王子高等女学校(後の東京成徳高等女学校)に端を発し、1993年に開校した。大学名は、菅澤が掲げた建学の精神「徳を成す人間の育成」に由来する。

 目下、同大学は2026年の創立100周年に向けて、建学の精神を引き継ぐグローバル人材を育成するため、教育環境・体制などの整備に取り組んでいる。その一環として、今年4月、従来の人文学部を国際学部として再編した。語学教育に重点を置いており、1年次後期という早い段階から1年生全員が米国または韓国に1年間留学するのが、この学部の最大の特徴だ。卒業に留学を必須とする学部は、全国でも珍しい。

 「本学部の英語教育プログラムは大手外国語学校と共同開発した。入学時から全ての学生が受講し、日常会話レベルの英語力を身に付けてもらう」と、国際学部の芳賀克彦学部長は語る。その後、米国留学を希望した学生はポートランド、シアトルなど西海岸でELSによる語学プログラムを4~7カ月受け、英語力が一定のレベルに達すれば地元の短期大学に1学期入学する(ELSでの英語研修のみで留学を修了する学生もいる)。韓国留学の場合、他国の留学生と共に寮生活を送りながら、ソウル市の慶熙(キョンヒ)大学か城南(ソンナム)市の嘉泉(ガチョン)大学で韓国語を中心に学ぶ。

就職支援も充実

 2年次後期以降は、ビジネスや研究の現場でも支障のない高度な英語・韓国語を習得しながら、国際関係や国際開発、平和学など専門分野を選択して研鑽を積む。大学内には、外国人講師との会話・交流を目的とした「グローバルラウンジ」が設置されており、留学後も自分のペースで英会話能力をブラッシュアップできる。

 本学部が目指すのは、世界の人々と協力しながら国内外の問題解決に率先して挑める人材、韓国人をはじめとする訪日観光客を真摯におもてなしできる人材の育成だ。公務員対策試験講座、企業インターンシップなど就職支援も充実している。芳賀学部長は、「学生に求める語学力は高く、卒業時の英語レベルはTOEICスコア800点以上(990点満点)、韓国語レベルは能力試験5級以上(最上級は6級)を目標としている。国際機関、国際協力NGOから観光業、マスコミまで、外国語に堪能でグローバルな視野を持った人材は、どの分野でも求められている」と述べ、「国際協力の分野では、持続可能な開発目標(SDGs)も踏まえて自ら課題を分析でき、思考力・主体性・協調性を兼ね備えた人材を育てていきたい。チャレンジ精神のある学生たちを待っている」とも呼び掛けた。

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

『国際開発ジャーナル2019年7月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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