独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)|国際協力に携わる企業(21-22)

日本と世界の企業をつなぎ持続的な経済成長を支援

 日本貿易振興機構(JETRO)、は日本のビジネスを世界につなげるため幅広く事業を展開している。主な事業の柱は、①対日直接投資やスタートアップの海外展開支援などを通じたイノベーションの創出支援、②日本の農林水産物・食品輸出支援、③中堅・中小企業など日本企業の海外展開支援、④調査・研究を通じた情報提供の四つ。時代のニーズに応じて、海外とのビジネス拡大を狙う企業を支援し、日本経済の成長と競争力強化に貢献することが使命だ。

 昨年来、世界経済の落ち込みや人の移動の制限などが日本企業の海外ビジネスに影響を及ぼしている。一方で、イノベーションが社会課題を解決する時代が到来し、デジタル技術を活用した新たなビジネスモデルが世界中で発展している。この原動力となっているのが、国境を越えて活躍するスタートアップ企業だ。

 JETROは、日本のスタートアップが海外で活躍し、各国・地域の社会課題解決に貢献できるよう、海外展示会への出展支援や専門家(海外の有力「アクセラレーター」など)によるサポートを提供。現地のパートナーとの提携などを通じて新たなイノベーションを創出できるよう、最新情報の提供や個別の支援を行っている。また、海外ビジネスに関心を持つ日本企業における、高度な知識・技能を持つ外国人材の活用推進や、社内の海外ビジネス担当者の育成支援にも取り組んでいる。

 JETROの強みは、約40の国内事務所、および70以上の海外事務所のネットワークだ。これらを活用しながら、日本と世界をつなぐ懸け橋となり、海外とのビジネスに取り組む人々にとって常に身近で頼りにされる存在であり続けるよう、職員が一丸となって取り組んでいる。

Infomation

 大学院の学部や学科など専攻分野を問わず、新卒採用を行っている。

 選考において、英語やその他特定の言語に係る試験の点数など、基準は設けていない。ただし、外国政府・企業などと業務を実施する上で、十分な語学力、とりわけ英語力は、国内外の勤務地問わず必要になる。

 JETRO入構後は、新入職員時代に、一生涯使えるビジネスマインド・習慣を身に付けてもらうための新人教育に加え、貿易実務、国際経済など国際ビジネスに必要な基本知識を徹底的に学んでもらう。

 また、若い年次で海外経験を積める海外研修制度を整備している。

在ベンガルール日本総領事館主催の天皇誕生日レセプションにて

Staff Voice

瀧幸乃さん 知的財産部・イノベーション・知的財産部 スタートアップ支援課(取材時)

日本の売り込みに魅力

 私は幼少期を米国で過ごしました。帰国後は、自己表現の仕方や社会の多様性など、米国とは対極な日本から早く出たいと思っていました。しかし大学時代、米国に1年間留学し、日本食や公共交通機関の正確な運行、飲食店でのサービスや他者への配慮など、日本の誇るべきものが見えてきました。留学中にJETROの委託先のPR会社でインターンをしたことがきっかけで、日本のものを海外に広めることに魅力を感じ、JETROに就職しました。

 外国企業を日本に誘致する部署を経て、インドのベンガルール事務所でイノベーションやスタートアップに関わる事業や調査を担当。帰国後は、日本のスタートアップ企業の海外展開や技術開発促進のためのインド理系人材の採用支援活動に注力しました。

 欧米への就職人気が高い中、日本で就職を希望するインド人もいますが、日本の生活環境や企業に関する情報が十分にありません。インドの理系トップで、日本政府の支援で設立されたインド工科大学ハイデラバード校の学生を対象に採用イベントを開いたところ、日本企業20社、学生400人以上が参加しました。

 また、日本スタートアップの海外見本市への出展も支援。世界最大の家電・IT見本市「CES」で、2021年は、2社がイノベーションアワードを受賞しました。

途上国にある最先端の現場

 大きなやりがいを感じるのは、海外の人の日本に対する印象がポジティブに変化した時や世界の最先端の情報やネットワークを日本企業に提供して感謝された時です。日本と世界、公共性とビジネスの両面を見られることにも、大きな醍醐味を感じます。

 インドのような社会課題が山積した国で、最先端の技術や斬新なビジネスモデルで課題を解決しようと奮闘する日本のスタートアップもいます。こうした企業が求める情報や人脈を提供し、海外でのビジネスが円滑に進むよう貢献したいと思います。より良い仕事をするには、自分とは異なるバックグラウンドや価値観を持つ人との対話が重要です。知識を貪欲に吸収し、どうすれば社会に貢献できるかを考える。それを楽しみながら、目標に向かって進んでいます。

Career

・2016年早稲田大学文化構想学部メディア・コミュニケーション論卒業
・2016年JETRO入構、対日投資部誘致プロモーション課
・2018年インド・ベンガルール事務所
・2019年イノベーション・知的財産部イノベーション促進課
・2020年イノベーション・知的財産部スタートアップ支援課
・2021年名古屋事務所(2021/6~異動予定)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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