株式会社パスコ|国際協力に携わる企業(21-22)

地球をはかり、未来を創る会社

 パスコは人工衛星、航空機、車両、船舶、ドローンといった、さまざまな計測プラットフォームを駆使して地球をはかり、AIをはじめとする最先端の技術を活用した加工、解析などにより、人と自然が共生した未来社会の構築に貢献できる空間情報サービスを提供する会社だ。経営理念は「空間情報事業を通じて、安心で豊かな社会システムの構築に貢献する」こと。

 同社はパシフイック航空測量株式会社として1953年10月に創業。当時の主な事業は、航空機に搭載した航空測量用のカメラで国土を撮影し、その航空写真をもとに、戦後の復興のために地図を作ることだった。現在はパスコ独自の技術を駆使して、国内外の国土の管理や保全、災害・環境対策、インフラの維持・管理、行政業務の効率化、生産性の向上や物流の効率化など、社会の課題の解決に挑んでいる。

 同社は常に最先端の測量・計測技術を追求し、新たなソリューションを生み出すための技術開発や実用化研究に取り組んできた。例えばAIを用いた衛星画像解析技術は、森林や農地などの管理に活用できる。インドネシアにおいて農地管理の実証実験を行うなど、国土管理の高度化を支援している。

 同社は人材育成にも力を入れている。例えば入社後、新人社員は集合研修やOJTで仕事を覚え、5年後までフォローアップ研修を受ける。同社が2010年に開校したPASCO大学や2018年から開催している若手育成塾での講義やワークショップは、社員にとって新しい発見や気付きを得る機会になると評判だ。公的な資格を取得するための支援も手厚い。空間情報総括監理技術者の資格を持つパスコグループの社員数は同業他社の約2倍に上る。

事業分野/採用情報

事業分野:空間情報事業
募集職種:技術部門、営業部門、管理部門
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

一気に進んだテレワーク環境

 昨年からの新型コロナウイルス感染症の流行で、パスコでも在宅勤務のインフラ環境整備が一気に進んだ。海外のプロジェクト現場への渡航が制限される中、社員にはテレワークに対応したパソコンを貸与し、顧客とのオンライン会議ではGIS(地理情報システム)を用いた画面を使用するなど、リモート環境をフル活用している。また、海外とのオンライン会議では育児中の子どもと参加したり、自宅からペットの猫と参加する顧客もいて、打ち解けた雰囲気による良い関係づくりに役立っているようだ。

 時差出勤や直行直帰などを取り入れる他、服装はスマートカジュアルを導入し、働きやすく活力ある組織風土を目指す。海外部門で働く女性社員はまだ多くはないが、それぞれがキャリア実現に向けて、業務に取り組んでいる。会社としても産休制度や子育て支援制度の充実を図り、社員の子育てと仕事の両立をサポートしている。

社員さんに聞きました

経営戦略本部 国際営業開発部 事業開発課 小林 義則さん

15歳 世界中の人と交流したい
初めから国際協力や社会課題を強く意識していたわけではありませんが、世界の地理や歴史には興味がありました。「世界で起きていることをもっと知りたい、世界中の人と交流したい」と思い、社会や英語の勉強を続けてきました。

22歳 英国の食文化を研究
 明治大学の文学部史学地理学科で、英国の17~18世紀のカフェ文化、人々の意識の変遷などを分析。災害や疫病をきっかけに都市の機能が変化していく流れは現代にも通じるものがあります。

27歳 協力隊でザンビアへ
 食育への強い思いから食品メーカーに入社し営業をしていましたが、早いうちに海外で働いてみたいという気持ちが大きくなり、5年目に青年海外協力隊に応募しました。任地のザンビアでは栄養改善活動に取り組みました。

29歳 ODAに関わり続けたい
 ザンビアで、これからも政府開発援助(ODA)に関わり続けたいという思いを抱くようになりました。帰国後、就活中に、もともと関心のあった地理空間情報分野でODA事業を実施しているパスコに出会い、入社を決めました。

33歳 落札の達成感はたまらない
営業担当としてプロジェクトの形成や受注活動に取り組んでいます。限られた時間内に関係者の知見を結集させてプロポーザルをまとめていきます。自分が担当し、プロジェクトを落札できた時の達成感は言葉に表せません。

PROJECTFOCUS

 アルバニア地形図案件の本邦研修のアテンド

幅広い営業担当の仕事

 私は現在、いわば企画営業のような業務に従事しています。具体的には、開発途上国における解決すべき課題の整理と、それに対する提案を模索するところから、プロジェクトへの入札対応、見積書作成や契約締結などの事務的なやり取りまで、社内の技術部隊と密に連携しながら、営業担当としてプロジェクトの形成や受注活動に取り組んでいます。目標は、青年海外協力隊の赴任地だったザンビアに恩返しすること。

 パスコが扱う地理空間情報分野では最先端技術の話題が豊富で、周りの方々から学ぶことが数多くあります。技術的なノウハウと実務経験を得た先に、地理空間情報の専門家として目標を達成できる未来があると信じて、日々努力していきたいと思います。

 国際協力業界を目指す方には「技術者だけではなく、営業職だからできる関わり方もある」と思っていただけるとうれしいです。思いがけないところに、これまでの経験や知識が活かせる国際協力の仕事との出会いがあるかもしれません。

企業情報

設立:1949年
創業:1953年
資本金:87億5,848万円
従業員数:2,783人(2021年3月現在)
本社:東京都目黒区
海外拠点:タイ、フィリピン、インドネシアなど
住所:〒153-0064 東京都目黒区下目黒1-7-1
Tel:03-5435-3550
Mail:jinji@pasco.co.jp
HP:https://www.pasco.co.jp/

 

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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