株式会社TEC インターナショナル|国際協力に携わる企業(21-22)

国際協力に貢献する水道事業のプロ集団

 TECインターナショナルは、株式会社東京設計事務所の海外部門が2012年に独立して生まれた、上下水道・環境分野に特化した開発コンサルティング企業だ。国際協力機構(JICA)や国際機関、各国政府などをクライアントに、上下水道施設の計画・設計・施工監理から、上下水道事業に関わる人材の育成や事業運営能力の強化まで、開発途上国が抱える水環境分野の課題解決に取り組んでいる。

 同社は「誠実を旨とし、優れた技術者を育て、良い作品を残す」という社是の下、政府開発援助(ODA事業を)中心に、約60カ国で水環境分野の国際協力に携わってきた。特に紛争や自然災害に見舞われた地域での復興支援の実績が豊富で、緊急性の高いプロジェクトで成果を上げている。「近年は、地方公共団体や民間企業と連携した水ビジネスの推進、途上国における環境・衛生教育にもチャレンジしています。今後とも、世界の至る所で良好な水環境を回復・維持するというミッションを継続したい」と代表取締役社長の狩谷薫さんは語る。

 東京設計事務所とTECインターナショナルが構成するTECグループが求める人材は、変化に対する柔軟性、行動力、向上心のある人だ。水ビジネスの内容は時代とともに変化するため、時代の流れに柔軟に対応し、常に自らを磨く姿勢が求められる。

 同社は社員の育成とキャリアアップにも力を入れ、成長過程に応じた研修システムを用意。若手の先輩社員がチューターとして相談相手となり、新入社員の日常業務を支援する。社外講習会への参加を後押しし、講師を招いた社内講座も実施。グループ全体で年に1度開催される業務発表会は、社員のプレゼン能力を発揮する場となっている。

事業分野/採用情報
事業分野:上下水道の調査、計画、設計、施工監理、環境アセスメント、維持管理能力向上業務など

募集職種:設計技術者、施工監理技術者
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

社員の声を反映した在宅勤務制度

 同社は2019年より段階的に在宅勤務制度を試行導入し、対象社員や在宅勤務日数、費用負担について調整を進め、2021年6月にさまざまな立場の社員の意見を反映した在宅勤務制度の本格運用を開始した。本格運用では、対象となる社員の条件を試行導入時よりも緩和し、職種・職位に関わらず利用しやすい制度となっている。

 また在宅勤務によるコミュニケーション不足といった課題には、必要な出社日数を定め対面でのコミュニケーションの機会を最低限確保することや、Web会議サービスなど情報通信技術(ICT)を活用し対応している。現在は7割以上の社員が同制度を利用し、週2~4日を在宅勤務としている。同制度の利用により生まれた時間を、家族と過ごす時間や自身の趣味などにあてて、各社員がワークライフバランスを充実させているという。今後、外国籍社員が母国で働く場合や、自宅以外を勤務場所としたリモートワークについても検討予定だ。

 

社員さんに聞きました

技術グループ ソフト・ソリューションチーム 上席主幹 鎗内美奈さん

25歳 日本語教師を目指していた
名古屋大学大学院在学中日本語教師としての実績をつくるため、青年海外協力隊に参加しました。カンボジアの大学で教えていましたが、もっと途上国の発展につながる貢献がしたいと感じ、開発について関心が高まりました。

28歳 水道プロジェクトに参加
協力隊の任期が終わりに近づいた頃、カンボジアで始まるJICAの水道プロジェクトで人材を探していると聞き応募しました。1年目は現地スタッフとして、2、3年目はJICA専門家として研修プログラム立ち上げに携わりました。

31歳 働きながらMBAコースへ
開発支援の現場を経験したことで国際協力分野に進むことを決め、経営戦略コンサルタント会社で働きながら組織強化について学ぶために法政大学の夜間MBAコースへ。論文でカンボジアのプロジェクトを事例に取り上げました。

34歳 再び水道プロジェクトへ
論文の事例として公表する承認を得るためにJICAに行ったことがきっかけで、嘱託職員として働くことに。その後、水道関係のプロジェクトに専門家として派遣され、ベトナムで3年、ミャンマーで6年ほど仕事をしました。

42歳 並行してNGOと大学講師も
JICAとの契約終了後、専門性が活かせる会社だと思い、半年前に当社に入社しました。開発コンサルタントの仕事の他に、水道関係の知見を国を越えて共有するためのNGOの事務局と、大学講師もしています。

 

PROJECTFOCUS

水公社内の事務所で水公社職員と共に働く

マラウイで無収水を減らす!

 今はマラウイの首都リロングウェの水公社と共に、配水管からの漏水や盗水などで料金請求ができない水(無収水)を減らすためのJICAプロジェクトに参加しています。新型コロナウイルス感染症の流行で1年間の現地活動の中断を経て、やっと再開されたタイミングでマラウイに来ました。

 プロジェクトの内容は、漏水箇所の探し方や修理、長期的な対策の検討や、水道利用者の意識向上のためのPRなどを、水公社ができるよう支援することです。活動のグッドプラクティスを共有するため、国内やケニアやルワンダなどの事業体とも情報交換をしています。この中で私はプロジェクトのコーディネーションや、活動で得られた成果の普及などを担当しています。

 JICAにいた時はジェネラリストとして事業に関わっていましたが、コンサルタントの方が専門性に特化して貢献でき、経験を積めるチャンスが多いですね。規模が大きすぎず、社員が互いをよく知っているので、専門性に応じて気軽に相談できるのが当社のいいところかなと思います。

 

企業情報

設立:2012年
資本金:6,000万円
従業員数:51人(2021年8月1日現在)
本社:東京都千代田区
海外拠点:インド、ミャンマー
住所:〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-7-1 霞が関東急ビル7階
Tel:03-3580-2418(代)
Mail:info@teci.jp
HP:https://tec-i.co.jp/

 

 

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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