インテムコンサルティング 株式会社|国際協力に携わる企業(21-22)

水産、教育、保健医療をベースに幅広く

 インテムコンサルティングは、1993年に設立された独立系の開発コンサルティング企業だ。設立当初より、水産、教育、保健医療の3分野を軸に主に国際協力機構(JICA)が実施する途上国の開発事業に携わってきたが、近年では産業人材育成、環境保全、ジェンダー、モニタリング・評価など多岐にわたる分野をカバーできる体制になっている。モットーは世界の国々から喜ばれる仕事をすることだ。

 組織的には自然環境部と社組織的には自然環境部と社会開発部が技術協力プロジェクトを、計画調査部が無償資金協力を担当する。2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で中断された案件が多く、業績は振るわなかったが、2021年に入って徐々に回復基調にある。

 JICA以外の案件としては「水産エコラベル」がある。国内の漁業者、養殖業者、加工業者など水産関係業者がその活動が持続可能であるという認証、すなわちエコラベル取得を支援するという水産庁の委託事業として、昨年から現在(2021年7月時点)まで計14の民間事業者をサポートしている。また、2020年に立ち上げた新ビジネス推進室では環境省の補助金事業として、日本のラムサール条約登録湿地の魅力をインバウンド観光客に紹介するHPの制作を行っている。このような国内での経験・知見は、いずれ海外の技術協力でも活きてくると見込む。

 代表取締役の土居正典氏は「昨今は、かつてのような一方的な支援から、日本の経験を活かして協働する互恵的な取り組みが求められるようになっている。柔軟な発想と情熱を持って新時代の国際協力に取り組みたい」と語る。

 若手の採用は文系・理系問わず随時行っている。青年海外協力隊経験者の採用も多い。

事業分野/採用情報

事業分野:教育、保健・医療、水産、農業・農村開発、環境保全、ジェンダー、職業訓練

募集職種:開発コンサルタント
募集人数:随時募集

わが社の働き方改革

アンケートを活用し働きやすい環境実現

 同社では、2017~18年に働き方改革の第一歩として全社員にアンケート調査を行って社員のニーズをくみ取り、作業環境などハード面や「育児・介護休暇」「フレックスタイム・テレワーク勤務」といった制度面の改善に着手していた。これらの制度を試行的に運用していたところ、新型コロナウイルス感染症の流行で本格運用に移行することになった。また、アンケートで浮かび上がったのは、仕事柄海外出張も多いため、部署間の交流が乏しくなりがちなこと。そこで社内コミュニケーションの促進と、国内にいる時間は心身ともに充実した充電期間としてもらうため、部署間の交流ランチミーティングを開催したりサークル活動の助成をしたりしている。

 同社は2021年に「えるぼし認定」を受けている。女性開発コンサルタントは13人在籍しており、現在うち一人が産休に入っている。今後も社員一人一人のライフステージに合わせた多様な働き方を提供していくという。

社員さんに聞きました

自然環境部 コンサルタント 雨澤 孝太朗さん

18~27歳 魚に明け暮れた学生時代
物心つく前からの魚好き。研究者になりたくて東京海洋大学に進学し、大学院まで通算7年間千葉県でクロマグロを養殖しながら、研究室ではクロマグロの産卵を誘発する経口薬の開発に取り組み、3件の世界特許も開発しました。

27歳 “研究者” スタンスに疑問
特許を開発しても一部の企業に独占されてしまい、薬品の価格も高くなってしまいました。自分がやっていることが不当に利用され、逆に技術の普及を妨げることになっているのではないかと疑問を抱くようになりました。

28歳 学界から実業界へ
研究よりも現場が向いているのではとの思いも。そうした思いを教授に伝えると、船の上にいる時の方が生き生きしていると言われ、知り合いに声を掛けていただいたところ、その方がインテムコンサルティングを紹介してくれました。

28歳 理想を現実化する仕事
開発コンサルタントという仕事を初めて知り、どういうものなのか調べてみると、仕事を通じてその国の魚の生産量が増えていました。それまで自分が論文で書いてきた理想を現実化している仕事だと感じて入社を決めました。

31歳 環境と調和する水産業を
これまでカンボジア、ラオス、バングラデシュ、ベナンの仕事を担当しました。自社で環境調査も手掛けているので、これからはまだ誰も本格的にチャレンジしたことのない、真に環境分野とリンクした養殖を考えてみたいですね。

PROJECTFOCUS

ベナンでの養殖業の技術指導

将来の「多職」も検討中

 ベナンの淡水養殖のプロジェクトを担当しています。

 仕事の内容は「養殖技術指導と普及」。現地の養殖家は勘に頼っているところがあり、テクノロジーとして波及しづらい。そこで餌量の予測や養殖日誌の管理ができるスマホアプリを現地の開発業者と協力して開発し、さあ配信しようというタイミングで新型コロナウイルス感染症の流行が始まってしまいました。会議などはオンラインを活用してリモートでできるのですが、現場の養殖場が僻地(へきち)に電波も届きにくいので、現状が把握できず技術指導もできずもどかしさを感じています。早く現場に行きたいですね。

 入社するまでは海外経験がなかったので海外の養殖の現場が見られ、養殖家とも交流ができ、とても充実していると日々感じています。

 将来的に現場の作業をロボット化できれば、リモート技術を使って開発コンサルタントと養殖家の「多職」を実現できたら面白いなと考えています。

企業情報

設立:1993年
資本金2,000万円
従業員数:43人(2021年7月現在)
本社:東京都新宿区
住所:〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-5-3 斉藤ビル5階
Tel:03-5389-7055
Mail:info@intemjapan.co.jp
HP:https://intemjapan.co.jp/

 

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

キャリア相談をする

タイトルとURLをコピーしました