株式会社 エックス都市研究所|国際協力に携わる企業(21-22)

環境や途上国支援を掲げ、常に時代先取り

 「脱炭素社会の実現、持続可能な社会の構築」をビジョンとし、「未来をデザインし、プロデュースする専門家集団」を名乗るエックス都市研究所は、2021年、50周年を迎えた。日本で都市問題や公害が課題となる中、大学の研究室からスピンアウトした若い創業者らが設立した同社は、「環境、エネルギー・資源」「都市空間・地域社会」「途上国支援」の三つの領域で、時代状況の変化を先取りしながら、社会的価値を創造してきた。

 持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定により、ESG投資や脱炭素対策が急速に動きだすなど、環境問題解決に向けた取り組みが世界中で始まっている。それらの動きは、エネルギー利用を根本的に変えた社会経済システムの構築や、まちづくりを追求してきた同社の行動理念とマッチする。加えて2020年からの世界的な新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、「コロナ後のニューノーマルを意識したプロジェクトも考えていく」国際コンサルティング事業本部・業務管理担当の石島則夫さんは話す。

 社内には、サスティナビリティ・デザイン事業本部、環境政策研究本部、海外環境事業本部、環境エンジニアリング事業本部を設置。国際環境分野では、国際協力機構(JICA)や外務省との協力事業の他、環境省と共に環境関連の条約制定に関する協力や調査も行う。国内向けには、日本企業の海外展開のための支援を行う他、まちづくりや環境教育にも取り組む。

 環境づくりの課題が複雑化・複層化していく中、課題領域について深い関心を持ち、あきらめずに考え続け、自分の成果に対して妥協しない人を求めるという。

事業分野/採用情報

事業分野:都市環境管理、循環型/低炭素化社会構築、気候変動対策、中小企業海外展開支援、環境ビジネス展開支援、国際環境条約関連など

募集職種:最新の採用情報はホームページを確認してください。
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

自主性と裁量を重視するフラットな社風

 「働き方改革といってもやっているのは普通のことだけ。男女差も意識していない」と国際コンサルティング事業本部の石島さんは言う。そこに、時代の変化を先取りしながら、社会的価値を創造してきた同社の社風が垣間見える。

 他社での経験も重ねてきた同社の川西さんは「国内部署の方が海外プロジェクトに参画したり、またその逆も。ポストや部署間の垣根の低さに最初は驚きました」と話す。

 個人の裁量が大きく、自分の責任で自由にできることが多い。会社が設定する語学やプロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM)手法の研修の他、社員による廃棄物管理や下水道などの勉強会もある。

 石島さんは言う。「そもそも管理職をやりたいという人があまりいない。みんな自分がやりたい仕事をやりたい。そういう会社です」。

社員さんに聞きました

海外環境事業本部 技術協力グループ 研究員 川西 理恵さん

13歳 日本への感謝と期待
マレーシアにいた中学時代、「私たちの国がここまで発展したのは、日本のおかげ」と当時住んでいたマンションのガードマンに感謝されました。現地の人たちが日本に寄せる期待を肌で感じたこの経験が私の原点です。

18歳 海外ボランティアでの協業経験
青山学院大学では、国際政治経済学を専攻。3年の夏休みに参加したトルコでのワークキャンプは実質初めて海外の人と一緒に何かをつくり上げる経験でした。約20人のメンバーと一緒に現地の大学のドミトリーを整備しました。

30歳 大事なのは信頼関係
新卒で入ったメーカーの営業時代の経験から、「顧客との信頼関係構築」を仕事をする上で最も大切にしています。30歳で入った国際協力の世界においてもクライアント間のバランスを取りソリューションを探るようにしています。

37歳 ひざ詰めの環境を求めて
JICAの期限付職員としてベトナムの案件形成などを経験した後、当社に入社しました。現地の関係者と「ひざ詰め」で事業を進めたいと思ったこと、それまで手掛けてきた都市環境の分野を深めたかったことなどが決め手でした。

39歳 いずれ国際機関の事業も
入社以来関わっているのが、JICAのスリランカでの廃棄物管理の事業です。バングラデシュの廃棄物焼却発電導入調査やコソボの廃棄物の技術協力プロジェクトも始まりました。今後は国際機関の案件にも取り組みたいです。

PROJECTFOCUS

コンポスト・プラント周辺の子どもへの啓発

現地との協議は連日2時間

 スリランカの西部州で進められているJICAの廃棄物管理のマスタープラン策定支援プロジェクトで、3R(リデュース、リユース、リサイクル)や住民への啓発の部分を担当しています。

 住民にどのように説明するか計画を立て、まさに今から、というところで、新型コロナウイルスの影響を受けてしまいました。

 現在は、事業を一緒に進める西部州の廃棄物管理機関と連日、約2時間、オンラインで会議をしながら進めています。パイロットプロジェクトをどこでどのようにやるのか、マスタープランの案はこれでよいかなど、15人くらいで議論します。現地でもたびたびありましたが、オンラインではより話が前の段階に後戻りしやすく、苦労しています。

 そのため、会議の冒頭、前回会議での決定事項を確認し、決定事項に話を戻さないように工夫しています。住民向けの啓発活動は、遠隔での進行では難しいところがあります。新型コロナの影響が落ち着き、現地で住民の中に入って活動できる日を待っています。

企業情報

設立:1971年3月12日
資本金:3,000万円
従業員数:138人(2021年6月1日現在)
本社:東京都豊島区
住所:〒171-0033 東京都豊島区高田2-17-22 目白中野ビル6階
Tel:03-5956-7500
Mail:ホームページの「お問い合わせ」フォームから問い合わせが可能
HP:https://www.exri.co.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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