株式会社かいはつマネジメント コンサルティング|国際協力に携わる企業(21-22)

ビジネス目線で途上国の発展を支援

 「地域づくり、人づくり、組織づくり」という視点から幅広い専門性を持つかいはつマネジメント・コンサルティング(KMC)は、国際協力機構(JICA)をはじめとする政府開発援助(ODA)関連機関や、海外進出を検討する日本の企業や団体をクライアントとして、世界70カ国の案件に携わる「ソフト系」開発コンサルティング企業だ。

 ODAによる国際協力事業では、途上国の政策立案支援、組織・制度の改善、技術指導といった技術協力の他、さまざまな調査に携わる。企業を対象とした国際ビジネス支援事業では、市場ニーズの調査や企業戦略構築、海外での事業展開支援などを手掛ける。国際ビジネス支援事業に力を入れるのは、途上国の持続的発展にはビジネス目線が重要と考えているためで、スリランカ、ラオス、ベトナムに現地法人を設立し、より地域に密着したサービスを提供している。

 KMCでは、社員が自ら学び、社員同士で学び合うことによって個人も組織も成長すると考える。また五つの課題「栄養」「金融包摂」「マーケティング」「人材育成」「ブランディング」についてタスクフォースを形成し、全社横断的に取り組んでいる。

 採用に際して、途上国の開発に役立つ専門分野の知識や実務経験は必須。学歴は修士課程修了以上が条件。日本企業の支援にも力を入れているため、例えばファイナンス分野などの専門性を持ち、かつ途上国開発に関する問題意識を持てる人であれば、これまで開発協力と接点がなかった人も歓迎する。コンサルタントとしての基礎力として調査・分析力、事業実施力、語学力、プレゼンテーション力、コミュニケーション力を重視している。

事業分野/採用情報

事業分野:地方創生、中小零細企業開発、農業農村開発、金融包摂、マーケティング、海外進出支援

募集職種:開発コンサルタント、国際ビジネス支援コンサルタント
募集人数:若干名

わが社の働き方改革

創業時から在宅勤務制度を導入

 ジュニアコンサルタント(JC)と呼ばれる若手社員には、同じ部署の「育成係」と、同じプロジェクトの「指導係」による育成チームが付きキャリアパス支援と技術指導が行われる。社内で設けたガイドラインに沿って育成が行われ、3カ月ごとの面談でフィードバックされる。JCはその結果を自身の次年度の業務計画書に反映し、入社後数年をめどにコンサルタントへの昇格を目指す。

 なお、新型コロナウイルス感染症の流行により、現在は可能な限り在宅勤務を推奨しているが、2001年の創業時からコンサルタントに関しては、仕事の量、場所の選択を本人に任せており、在宅勤務制度も取り入れている。また、常勤でも小学校高学年までの子どもがいる社員は、男女問わず週1回の休みか在宅勤務が選べる。

 女性の出産・子育ても積極的に応援しているが、あえて会社の制度として固定化はせず、ケースバイケースで社員に合わせ柔軟に対応していきたいという。

社員さんに聞きました

地域産業開発部 JC 野口 翠さん

26歳 パラオで地域づくりに開眼
東京大学で社会学を学んだ後、同大学大学院で都市工学を専攻し、パラオでアグロフォレストリーを調査。地域の伝統や文化を知ることに興味を抱いた半面、問題点も垣間見て、持続可能な地域づくりに携わりたいと思うように。

27歳 住民主体の生態系管理
まず日本の良さや強みを知りたいと、国内を中心に活動する自然環境分野のコンサルティング企業に就職しました。小笠原諸島の父島に4年間駐在し、世界自然遺産の生態系の管理を、地域・住民主体にシフトしていきました。

35歳 社員育成の姿勢に惹かれて
やはり途上国の仕事がしたいと思い、地域づくり、人づくり、組織づくりを理念に掲げる当社に入社しました。面接で社員を育てていこうという雰囲気を感じたところと、女性が活躍しているところが入社の決め手でした。

35歳 経験が活かせることを実感
ベトナムの女性がアクセスしやすい金融サービスを開発するプロジェクトに参加しました。現地に入るときの作法やコミュニケーションの重要性、相手の意向を丁寧に聞く姿勢など、それまでの経験が役立っていると感じました。

38歳 海外と日本をつなぐ仕事を
少子高齢化や地方の過疎化など日本の課題解決の知見は途上国で活かすことができ、逆もしかりだと思います。海外の方の日本の農村での研修のように、相互が協力し合える関係構築のためにネットワークを広げていきたいです。

PROJECT FOCUS

女性メンバーへのインタビュー

 女性の金融アクセスを改善ベトナムの貧困層の女性が使いやすい金融サービスを開発するプロジェクトで、カウンターパートである「ベトナム女性連合」が、貧困層の女性向けに行う金融教育の教材と指導用マニュアルの作成を担当しています。

 プロジェクトでは、金融商品開発にあたり顧客中心主義を採っており、女性たちの声に耳を傾け女性のライフサイクルや生活スタイルを知った上で、ニーズに合った商品やサービスが提供できるよう調査をしました。調査に基づいて商品開発を行うマーケティングは日本では当たり前ですが、途上国では必ずしもそうとは限りません。その意味で、協力に活かせる知見は身近な生活の中にもたくさんあると感じています。

 コロナ禍で、ここ1年は遠隔で進めていますが、現地のスタッフやカウンターパートが主体的に調査に取り組んでくれるという、本来あるべき姿が図らずも実現できたのはうれしい誤算でした。ただ、教材使用者の反応や雰囲気は現地に行かないと見えないので、どうカバーするか検討中です。

企業情報

設立:2001年
資本金:6,000万円
従業員数:38人(2021年7月現在)
本社:東京都渋谷区
海外拠点:スリランカ(コロンボ)、ラオス(ビエンチャン)、ベトナム(ホーチミン)
住所:〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿1-3-1 朝日生命恵比寿ビル10階
Tel:03-5791-5083
Mail:kmc.admin08@kmcinc.co.jp
HP:http://www.kmcinc.co.jp/

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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