農業・水分野に強く世界90カ国以上で展開
三祐コンサルタンツは、戦後初の世界銀行による大型農業プロジェクト「愛知用水事業」に従事したエンジニアたちが1962年に創設した、農業・水資源開発分野を得意とする技術系コンサルティング企業だ。65年には初の海外プロジェクトとしてイランで「タレガン多目的水資源開発計画」に着手。山脈を貫く9㎞の導水トンネル、総延長100㎞にわたる灌漑(かんがい)幹線水路、約200本の深井戸による地下水開発などを行い、世界的にも高い評価を得た。その後、これまでに世界90カ国以上で開発事業に携わり、日本を代企業として2022年には60周年を迎える。
企業理念の「祐(たすけ)の心、祐(たすけ)喜び」を具現化するため、事業目的として「安全な水・食料、エネルギーの創出に貢献し、社会・人類の発展に寄与する」を掲げている。現在の海外事業は、政府開発援助(ODA)による「国づくり」「ものづくり」「人づくりの案件が」中心。国づくりでは開発計画の策定、ものづくりでは建物や施設の設計や工事の監督、人づくりでは訓練・研修計画の立案などを実施する。
社員のキャリア形成を重視し、入社後、現場で必要となる水理・構造・土質・計画という農業土木の四つの基礎学講座などの研修プログラムがある。語学力向上のための支援や、働きながら修士号・博士号を取得するための国内外留学支援も行う。
求める人材像を表すキーワードは、「地球規模で人類を語ることができる人」「プロフェッショナルを目指す人」「優しさと厳しさを併せ持つ人」「責任感の先にしかない『信頼』」などだという。スタッフの半数は専門性を持つ技術職だが、文系出身者も活躍している。
事業分野/採用情報
事業分野:農業開発、水資源開発、経済・社会開発に関わる企画、施工管理、運営指導、環境アセスメント、組織強化、人材育成支援など
募集職種:
■開発コンサルタント(土木、農業土木、給水、下水、衛生工学、地下水、地質、経済、農業経済、農業、社会学)
■営業職(ODA事業に関する新規案件形成、プロポーザル作成、契約管理、業務執行支援、出入金管理など)
募集人数:若干名
わが社の働き方改革
男女とも働きやすい業界づくりも視野に
キャリア形成を重視する同社は、育児・介護休業法の拡充適用や育児・介護などによる退職者のジョブリターン、継続した正社員採用と個々のキャリア形成計画に基づく体系的なOJT、管理職の女性登用などを進めてきた。その結果、2019年3月には次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」、2020年1月には女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けた。
2021年には女性の声を集め、課題を抽出し、改善策を実行していくために女性社員をメンバーとする「女性コンサルタントの更なる活躍ワーキンググループ」を立ち上げた。活動の一環として2021年4月には、同業他社4社の女性コンサルタントと共に勉強会を開き、働く上で直面した課題や参考となる各社の取り組みを共有。日本を代表する開発コンサルティング企業として、社内はもちろん、男性も女性も働きやすい業界づくりを目指し、活動や提言を進めている。
社員さんに聞きました
17歳 飢餓問題から農業へ
学校の授業や国連児童基金(UNICEF)の募金をきっかけに、漠然とですが、地球環境や飢餓、砂漠化の問題に興味を持つようになりました。そうしたことに関わりたいという気持ちが農業分野の勉強につながっていきました。
22歳 耐乾燥の小麦の研究
横浜市立大学では理学系の環境生命コースに。研究室に半世紀前のアフガニスタンの小麦の種子約500種が保存されており、その中から乾燥に強い種類を選別してアフガニスタンに戻すという取り組みに関わりました。
22歳 異なる文化や習慣に興味
研究をしながら、現場で農業技術の指導をしてみたいと思っていました。また、研究室にはアフガニスタンや南米出身の日系人の学生、インド人の准教授がいて、文化も考え方も全然違う人たちと交流する楽しさを感じました。
25歳 現場志向でコンサルへ
現場に行きたくて京都大学大学院の土壌学の研究室に入り、雑草による作物被害の研究でナミビア干ばつ地域に。専門知識を身に付けて現地に貢献したいと思い、就職は、農民に直接関わる機会の多い開発コンサルタントを選びました。
30歳 栄養や環境と連携を
入社後、国内の営農計画を手掛けた後、海外事業に従事。現在はエチオピアの農業保険案件やザンビアの小規模灌漑案件を担当しています。今後、農業による栄養改善や気候変動に対応した農業にかかる事業に携わっていきたいです。
PROJECT FOCUS
日本で学び現地に伝える
エチオピア中央部での「農村レジリエンス強化のためのインデックス型農業保険促進プロジェクト」で、農業技術の普及や業務調整を担当しています。現地は天水農業が中心で干ばつなど自然災害に対して脆弱(ぜいじゃく)性が高い地域。インデックス型農業保険は、植生や収量が設定値を下回った際に迅速に保険金が支払われるのが特徴で、農業保険と農業技術を一緒に普及することにより農村のレジリエンス強化を目指しています。私は政府職員を通じて農民に 、各リスクに対する農業技術を伝えています。例えば干ばつに対する土壌水分の保持技術や病害虫を防ぐ混作技術など、安価で簡易な技術を伝えています。また、研修教材や広報冊子も制作します。研修後、技術の効果が出たり農民たちが技術を導入するのを見るとやりがいや達成感を感じます。
日本では研修企画をしたり、有機農業の教室に行き日本の農業について学んでいます。途上国ではさまざまな課題にぶつかることが多く、現地での経験とともにベースとなる日本での学びも大事だと感じます。
企業情報
設立:1962年6月22日
資本金:5,977万円
従業員数:262人(2021年8月現在)
本社:愛知県名古屋市
海外拠点:ヤンゴン、カイロ
住所:
〒461-0002 愛知県名古屋市東区代官町35-16(本社)
〒170-0004 東京都豊島区北大塚1-13-17(海外事業部)
Tel:
052-933-7801(本社)
03-5394-8991(海外事業部)
Mail:m-ovs-eigyo@sanyu-com.co.jp
HP:https://sanyu-con.jp/
『国際協力キャリアガイド21-22』掲載
(本内容は、取材当時の情報です)