PROJECT FOCUS
パキスタン

写真:保護リレー運転訓練シュミレーターによるトレーニング

 

<無償資金協力>
 
  

電力の品質向上へ向けて運用員を育成

  
 

 

パキスタン
送変電設備運用・維持研修所強化計画

コンサルティング:(株)アジア共同設計コンサルタント、八千代エンジニヤリング(株)
施設建設:飛島建設(株)                                
機材調達:三菱商事(株)、東芝エネルギーシステムズ(株)             

 

 パキスタンでは、慢性的な電力不足により全国で大規模な計画停電が余儀なくされており、国民は生活に不便を強いられ、産業の発展も影響を受けている。国際協力機構(JICA)も「対パキスタンJICA国別分析ペーパー」(2014年3月)において、同国の経済基盤の改善のために「電力拡充整備プログラム」に重点を置くとの方針を掲げ、送配電網拡充のための支援を行ってきた。しかし、設備の増強に伴い、設備を動かす国営送電会社(NTDC)の運用員の人材育成と増員が必要であることが判明した。
 電力系統の運用員は、刻々と変化する電力系統の状態を正確に把握した上で、変電設備の操作手順を判断し操作を行わなければならない。特に事故が発生した際、速やかに停電復旧し、停電を拡大させない事は、運用員の熟練度に依るところが大きい。そのため、全体的な運用員の技術力向上と熟練運用員の増員が必要である。しかしながらNTDCは訓練設備を所有していないため、計画停電などの際に停止した設備を使っての研修に頼らざるを得ない状況となっている。本計画では同国北東部にあるパンジャブ州ラホール市に送変電訓練用の研修施設1棟を新設し、日本製の訓練シミュレータを導入して、NTDCの運用員が効果的な運用法を習得できるようにする。17年春に工事が始まり、本年2月に訓練センターが開業された。今後は年に120人が研修できる施設で本格的訓練を受ける事により、突発事故から迅速に復旧ができる熟練運用者が増え、停電時間短縮による電力品質の向上が期待される。

 

『国際開発ジャーナル』2019年4月号掲載

 

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