PROJECT FOCUS
インドネシア

<無償資金協力>
 
  

開発の余地が大きい地域の橋梁を整備

  
 

 

インドネシア
第三次西ヌサトゥンガラ州橋梁建設計画

コンサルティング:(株)片平エンジニアリング・インターナショナル
施設建設:(株) 竹中土木                        

 

 インドネシアの西ヌサトゥンガラ州は、ロンボク島とスンバワ島から成る。同国の中では経済発展が遅れた地域といわれ、貧困率が全国平均を大きく上回っている。特に、東側に位置するスンバワ島の南部は開発の余地が高く、2000年代半ば以降、同国政府によってロンボク島やバリ島からの移住政策が進められた。
 先立つ02年には、スンバワ島南部を東西に縦断する南リング道路が完成した。しかし、雨季に川が増水した際、多数の仮設橋が流出して寸断されており、地域の発展を妨げる一因となっている。インドネシア政府と西ヌサトゥンガラ州政府が取り組む南リング道路の修復を支援するため、日本側は計12箇所の橋の建設・整備を第一次、第二次の無償資金協力で実施してきたが、第三次事業として護岸工など防護施設を含め、新たに10箇所の橋梁を建設することになった。
 その際、コストを抑える配慮がいくつも取られている。例えば、すべての建設資機材をインドネシア国内で調達し、建設方式は資材の入手が容易で経済的に建設でき、維持管理のコストを減らすため、橋梁は支承のない簡易な構造の「橋台一体型橋梁」を採用。海岸に近い橋梁はコンクリートの鉄筋かぶりを大きくするなど、塩害に対する耐久性も高めた。
 本事業は17 年1月に完工し、南リング道路の全区間が開通した。道路沿線の約12万人に裨益効果が及ぶと見られており、住民の移動、物資の輸送が効率的になるため経済活動が活発になり、入植者の定住も進むとの期待が高い。それまで手付かずだった現地の農業、鉱業、観光業なども、今後の発展が見込まれる。

『国際開発ジャーナル』2019年6月号掲載

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