写真:タンザニアで商品化された干しいもといもけんぴ
イースクエアが一部出資し
コンサルティング・サービスを提供
柳田啓之氏
官民連携分野で実力を発揮
国内企業の環境ビジネス支援やCSR専門の経営コンサルティング会社として地歩を固めつつ、近年は国際協力機構(JICA)の協力準備調査、中小企業の海外展開支援事業など官民連携の領域で実力を発揮しているのが(株)イースクエアだ。設立は2000年9月。
同社は、JICA中小企業海外展開支援事業が始動した2012年度以降、案件化調査や普及・実証事業、民間技術普及促進事業などで着々と実績を積み上げており、対象国はアジア、アフリカ、南米と広域に渡っている。その中で、商品化が進むなど注目される動きを見せているのが、タンザニアを舞台に「干しいも」の製造・販売を通したビジネスモデルの構築を目指す普及・実証事業である。
この事業は、茨城県で長年にわたり干しいもの生産・販売を行う(株)照沼勝一商店(茨城県東海村)の提案によるもので、BOPビジネス連携促進事業から、2015年度の普及・実証事業につながった(本誌2018年10月号44ページに関連記事)。この間、一貫して外部人材としてコンサルティング業務に当たってきたのがイースクエアのシニア・マネージャー、柳田啓之氏だ。
商品化しテスト販売へ
現在実施中の普及・実証事業では、①さつまいもの加工用品種の導入・普及、②安定生産と品質向上を目指した栽培技術の指導、さらに③さつまいもの長期保存と加工に適した糖度に上げるための貯蔵庫の導入・普及などの取り組みが続いている。日本から持ち込んだ加工用品種は干しいも生産用が4種、いもけんぴ用が1種。終了予定は今年7月である。
照沼勝一商店は、本事業の展開に合わせタンザニアの首都ドドマに現地法人「M a t o b o r w aCo.Ltd.」を設立。イースクエアも一部出資し、企業と一体となり生産から加工、商品化、販売網の開拓・整備までビジネスモデルの構築に注力している点は注目されよう。販売網の開拓については、同国最大の経済都市ダルエスサラームのスーパーマーケットなど約3 0 店舗に、ドドマで生産した商品(「干しいも」と「いもけんぴ」の2種)を卸し、店頭販売している。販売価格は日本円にして、いもけんぴ(90グラム)100円、干しいも(100グラム)が250円。一般的に干しいもなどはスナックとして定着していないため、現地の消費者に馴染みのあるドライマンゴーやドライパイナップルなどの自社商品と一緒に並べ、手に取り易くするといった工夫も凝らされた。「現地の消費者の反応は決して悪くない」(柳田氏)という。
課題は、やはり安定的な市場の確保だ。「いもだけでは現法の持続的な経営は難しい。タンザニア国内では消費量も限られており、商品アイテムの多様化に加え、日本をはじめ輸出先の開拓も重要な課題」と柳田氏は話す。終盤に向かいつつある普及・実証事業の展開が注目されるが、まずはパッケージングされた商品に中小企業支援の一つの“果実”を見ることができよう。今後が期待される。
『国際開発ジャーナル』2019年8月号掲載
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