<無償資金協力>
観光客の安全を確保し遺跡価値を高める
カンボジア
アンコール・ワット西参道修復機材整備計画
コンサルティング:インテムコンサルティング㈱
機材調達:三菱商事㈱
カンボジアを代表する仏教遺跡であるアンコール・ワットは、世界遺産にも登録されており、年間100万人以上の外国人観光客が訪れる。その表玄関にあたる西参道は破損が激しく、崩落の危険も高かったため、1999年~2007年、アンコール地域遺跡保護管理機構(アプサラ機構)が上智大学の支援の下、一部の修復を行った。12年、アンコール遺跡救済国際調整委員会(ICC)はアプサラ機構に対し、未修復である西参道北側の左半分について、必要な対策を取るよう勧告。これを受けて、アプサラ機構は日本に表参道修復のための機材供与を要請した。
13年12月、日本政府はカンボジアと無償資金協力の交換公文を締結し、事前調査を踏まえて自立式クレーン、小型クローラー(履帯)クレーン、発電機、石材工具セットなど計11点の機材を供与することになった。15年12月に引渡が行われ、機材の運用指導も良く16年4月に完了した。
クレーンの活用は効率的な作業に欠かせないが、参道は多くの観光客がいることもあり、トラッククレーンを走らせることは難しい。このため石材置き場にホイールクレーン、西参道入り口近くに自立式クレーンを建て、参道の周りに小型クローラークレーンを配置して、バケツリレーの要領で資材を運搬する方法を取った。
上智大学も、クラウドファンディングで資材購入費、現場作業員の人件費などを確保するなど参道修復事業を支援している。これら支援によって、観光客の安全が確保されるとともに、観光資源としてのアンコール・ワットの価値がさらに高まることが期待されている。
『国際開発ジャーナル』2019年2月号掲載
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