青年海外協力隊の経験を教育現場に
<鳴門教育大学>

写真:髙濱 牧子さん(左)板垣 暁歩さん(右)


学生の声

鳴門教育大学大学院学校教育研究科 修士課程1年
教科・領域教育専攻 国際教育コース
髙濱 牧子さん

新たな教育者の姿を目指して

 大学卒業後に小学校で教鞭をとっていましたが、自らが途上国経験なしに子どもたちに世界の現状を伝える難しさに直面し、国際協力の現場に行こうと青年海外協力隊に参加しました。南米のボリビアに小学校教育隊員として派遣され、現地の小学校で算数教育の改善などに取り組んでいました。

 その活動終盤に、国際協力機構(JICA)の草の根プロジェクトの専門家として派遣された鳴門教育大学の石坂広樹准教授に出会いました。現在の指導教員で、この時、一緒に算数のワークショップをする機会をいただきました。ワークショップでは確かな数値で教育の改善方法を示したところ、参加した8割の現地の先生方がその方法を取り入れてくれました。

 その経験から学術的に途上国の教育の改善方法を示す重要性を実感し、大学院進学を決めました。現在は、多くの途上国の教育現場がテストの点数のみで子どもたちを評価する傾向にあることに疑問を持ち、子どもたちに対してテストの点数など定量的評価を褒めることと、学習の過程などの定性的評価を褒めることで、彼らの学力と心理面の自己効力感の向上にどういった差が生じるのかを研究しています。

 鳴門教育大学では、日々の学び以外にも教育分野に関心のある留学生やJICAの研修でこられる各国の教育関係者と触れあう機会があり、彼らの目線で見た日本の教育についても学べます。さらに、大学が取り組んでいる途上国でのプロジェクトに同行し、国際協力の現場に行く機会が多いことがとても魅力的です。この1年間で既に4ヵ国へ行く機会があり、来年度もボリビアに渡航予定です。

  大学院卒業後は、日本の教育現場と途上国での教育の専門家としてのキャリアを積むことができる働き方を考えています。


学生の声

鳴門教育大学大学院学校教育研究科 修士課程1年
教科・領域教育専攻 国際教育コース
板垣 暁歩さん

サモアに恩返しができる教育の専門家に

 青年海外協力隊でサモアに理数科教育隊員として派遣され、JICAの教員研修のプロジェクトに参画しながら、現地の中学校でも理数科教育を行いました。しかし、当時は日本での教育現場の経験がなく、自分がサモアに本当に貢献できたか疑問を抱えながら帰国しました。

 帰国後は、教育現場で経験を積むべく高校で教員として働くことにし、いずれサモアに教育分野で貢献したいなと考えていました。とはいえ、なかなか日本にいながらサモアとの接点が持てずにおり、教員として5年間勤務した時に、妻の勧めで鳴門教育大学の説明会に参加しました。

  そこで、在籍中の協力隊経験者の話や研究科の「教育の専門家養成」という目的が、自分の教育に対する考えや協力隊経験からの思いと合致し、進学を即決しました。

  現在は、数学の授業のなかに協同的な授業法を導入することで、子どもたちの学力の向上や学習意欲の向上につながるのかを研究しています。大学院に入学してから多くの先行研究や現在の数学教育のトレンドを学ぶ中で、研究テーマにあげた「協同的学習」が有効だと先進国で言われていることを知りましたが、自らサモアで見た教育現場では、テストの点数を上げることに必死になっているのが現状でした。この21世紀型の教育が先進国だけのことなのか、サモアなどの途上国にも対応できることなのか、その可能性を探っていきたいと思っています。

協力隊でお世話になったサモアに教育分野で恩返しできる日を目指して、鳴門教育大学で教育に熱意を持つ国際色豊かな留学生と共に、さまざまな視点から教育についての見識を深めていきたいと思います。

※注 鳴門教育大学大学院は2019年度より改組し、国際教育コースは「グローバル教育コース」に変わります。従来の国際教育協力の分野に加え、日本語教育・日本文化分野、英語コミュニケーション・異文化理解分野、国際理数科教育分野の4つの各分野で活躍できる人材の育成を目指します。グローバル教育コースについては「大学の国際化最前線」にて紹介
『国際開発ジャーナル』2019年3月号掲載【PR】
#鳴門教育大学 #大学院生の声 #青年海外協力隊の経験

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