中立・独立・公平の理念のもと、政府側、反政府側を問わずにあらゆる紛争当事者と対話して人道支援を可能にする ⓒ Getty Images/ICRC
設立:1863年
従業員:1万7,672人(本部 1,040人、フィールド1万6632人)
本部:スイス・ジュネーブ
事業分野:法、水・衛生、経済・社会開発、障害者支援、医療・保健など
募集職種:国際職員(デレゲート)など
募集人数:随時
住所:(駐日代表部)〒107-0052東京都港区赤坂1-11-36 レジデンスバイカウンテス320
TEL:(駐日代表部)03-6628-5450
Mail:Tok_tokyo@icrc.org
HP:http://jp.icrc.org/
「中立」の立場貫き3度のノーベル平和賞
戦争で傷ついた人を敵味方の区別なく救うアンリー・デュナンの「赤十字思想」を受け継ぐ赤十字国際委員会(ICRC)。赤十字の最初の機関として1863年に結成されノーベル平和賞を3度受賞。 活動の舞台は世界100カ国近くにのぼり、各国の赤十字社・赤新月社や国際赤十字・赤新月社連盟と密に連携しながら、政府や他の援助機関では入れない危険地帯にも挑んでいく。そして公平・中立・独立の活動原則のもと、戦争や武力紛争などの犠牲者を保護し、迅速に食料や安全な水、シェルターなど命をつなぐための緊急支援の提供や離散家族のサポート、国際人道法の普及などを行っている。「一番の特徴は国際社会から人道支援に関する法的な権限を与えられていること」と話すのは駐日代表部広報統括官の眞壁仁美さん。
一筋の希望を与える「ラストリゾート」
武力紛争中に捕虜の家族との再統合を助けるなど権限を有している。ICRCのミッションは危険を伴うこともあるが、「助けを求める人を公平に支援する」という信念と交渉力で、交戦中の関係当局に呼びかけ、被害を最小限にとどめる努力を続けている。過酷な状況下に置かれた人々に一筋の希望と安心を与えるICRCは、ときに「Last Resort(最後の切り札)」と形容される。世界の紛争が、かつての国際的紛争から内紛や都市型暴力など非国際的紛争に変わる中、すべての紛争当事者と話し合いの機会を持つ中立な国際組織として、その存在感を増している。現在募集中の職種や必要な資格などはジュネーブ本部サイト参照。なお、日本人が応募する場合は、ICRC人事部のアジア担当(上記応募先参照)が直接の窓口となる。
ICRC国際職員(民間人保護チームのチームリーダー)
幼少期を英国のバーミンガムで過ごす
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高校卒業後、(学)アジア学院で農村開発を学ぶ
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国内外のNGOを経て筑波大学(国際開発学)へ
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日本赤十字社の防災・生活再建要員としてスマトラ島沖地震・津波支援に従事
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ICRCに入職
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ジュネーブアカデミーで国際人道法と国際人権法を研究、再びICRC職員に
「中立」貫くミッションに誇りとやりがい
スマトラ島沖地震の被災地でICRCの活躍を知り、紛争地で中立的な立場で分け隔てなく人を救う団体だと知って入職を決意。イスラエル・パレスチナ派遣を皮切りに、スーダン、ラオス、イラクを経て、現在はナイジェリアに赴任しています。スーダンでは現地職員が武装勢力に拘束されたこともあり、ときに命の危険を感じることもありましたが、ICRCならではの仕事にやりがいと誇りを感じています。中立を貫くICRCだからこそ政府と反政府武装勢力、すべての紛争当事者と対話し、政府や他団体ではアクセスできない地域でも活動できます。破壊され尽くした国や地域で無力感に苛まれることもありますが、この地道な活動を続けていくとともに、紛争の影響を受ける若い人たちに国際人道法の理解を促す取り組みにも力を入れています。どんな立場の人でも尊厳や人権を大切にできる世界に貢献していきたいです。
国際人道法の守護者
2011年の入職以来、ICRC国際職員としてさまざまな紛争地域で働いてきました。特に印象深いのは長い間紛争が続くイラクでの収容所訪問のミッションです。近年はイスラム国(IS)などとの戦闘で人道ニーズが高まっていました。10人のチーム体制で定期的に収容所を訪れ、被拘束者が人道的に扱われているかをモニタリングします。被拘束者とその家族を手紙でつなぐ「赤十字通信」も続けています。イラクでは、武力紛争に関連して拘束された人の司法手続きの保障が不十分で、特にテロの疑いで拘束された人が釈放される可能性は低いのが実態です。多くは希望を失っていますが、家族からのメッセージを受け取ると一瞬だけ表情がやわらぎます。国際人道法の守護者といわれるICRCならではのこうした活動により、拷問などの残虐な行為を抑制し、さらなる憎しみを生むリスクを防いでいます。
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