現地の人々に寄り添って活動
貧困、開発、平和構築、教育、環境、紛争など、開発途上国が抱える課題に対し、地域に根差して取り組んでいるのが国際協力NGOだ。日本には400〜500の団体があるとされ、世界各地で活動している。その強みは、政府開発援助(ODA)では届きにくい草の根レベルに入り込み、人々のニーズに応え、きめ細かい支援を行えることだ。国際協力NGOセンター(JANIC)が日本の国際協力NGOへのアンケート調査を基にまとめた「NGOデータブック2011」によると、回答のあった243組織の活動地域は、アジアが80%、アフリカが25%(複数回答 )だった。また、施設やインフラ整備といったハード面よりも、途上国の住民やコミュニティーの能力を引き出すキャパシティー・ビルディングといったソフト面を支援する傾向が強い。近年では、政府もこうしたNGOの強みに注目しており、国際協力の担い手のすそ野を広げるために彼らとの連携を強化している。しかし、日本の国際協力NGOの9割は1980年代以降に設立され、欧米に比べるとまだその歴史は浅い。中には組織体制や資金基盤が十分ではない団体もある。最近では活動の質がより厳しく問われ、成果を外部に説明することも求められている。
国際協力NGOセンター(JANIC) SDGsへの取り組み
話を聞いた人:メンバーシップ・コミュニケーションマネージャー 渡辺 李依さん JANICはNGO間のネットワークを作ることでその力を最大化し、課題解決を促すことを目的としています。さらにNGO間のみならず、政府や企業、労働組合、自治体との連携・協働を進めるため、2013年にはNGOの認知向上プロジェクトを実施。広告会社の博報堂などと、NGOがコミュニケーション戦略をどう作り上げていくか模索していました。そうした中でSDGsへの取り組みが開始され、それがJANICの中期戦略が変わるタイミングと重なって、新たにコミュニケーションのあり方を模索・実行する大きな機会となりました。その具体的な事例の一つに、SDGs理解促進ツールとして「ひとこと多い張り紙」があります。SDGsの17の目標にちなみ、17の張り紙を作成。職場や店舗で気軽にダウンロードして活用できるようにしました。一枚の張り紙が、誰かの視点を変え、行動を変え、SDGsの達成を実現する力になるはず、との思いが込められています。そうした思いが功を奏し、張り紙は学校や企業などで好評です。オリジナルを作りたいなどの声も上がり、文化祭での活用や、ワークショップを開催するなど、SDGsへの理解と、さらに行動促進にも役立っています。今後は「国際協力=途上国支援」から国内外を問わない「グローバルな社会課題の解決」へとシフトし、一人ひとりが自分らしく生きる社会の実現に貢献したいと考えています。
国際協力キャリアフェア2021では国際協力NGOセンタースタッフが、NGOで働きたいあなたの相談を受け付けています!
本ページは過去の国際協力キャリアガイドを基に作成しています
コメント