大阪女学院大学大学院21世紀国際共生研究科は「平和・共生」「人権・開発」の2領域から地球規模の課題の解決を目指す。国際機関や国際NGOなどで通用する能力の養成を念頭に置いたカリキュラムとなっており、講義はもちろん、修士・博士論文作成まですべて英語が用いられる。
特に「国際機関職員養成プログラム」が用意されているのもうれしいところだ。
博士前期・後期両課程で、海外でのインターンシップ、フィールドワークいずれかへの参加を論文提出の要件としており、費用の一部を奨学金として支給している。
また、博士後期課程では3年次に社会人学生対象の奨学金が用意されている。
アジアをはじめ各国からの留学生も積極的に受け入れており、独自の留学生向け奨学金制度も充実している。
最大の魅力は、少人数制によるきめ細かい指導だ。一人の教員が担当する学生が、多い場合で3、4人で、教員と学生のコミュニケーションが密に取れる非常に恵まれた環境にある。論文はもちろん、フィールドワークに関しても、学生の興味に応じて教員がテーラーメイドで相談に応じている。
こうして理想的な環境で学んだ後、労働者、女性、子どもの人権の保障、民主化を進める教育の普及、紛争解決と平和維持推進など、グローバルな課題に関する研究・行政・活動に取り組む専門家として活躍する人も少なくない。
大阪女学院は1884年に創立されたウヰルミナ女学校が前身で、キリスト教の精神が教育の基盤にある。その歴史は平和や人権に焦点を当てる研究科のバックボーンとなり、今に受け継がれている。
先生に聞きました!
21世紀国際共生研究科教授 教授
前田美子先生
国際・比較教育、国際協力、開発教育などが専門。
専門は「国際・比較教育」で、そのなかでも途上国の教育問題にどう取り組むかという「教育開発」と、公正で持続可能な社会をつくるにはどうしたらいいかを考える「開発教育」に関心があります。
私自身はもともと中学・高校の理科教員だったのですが、在職中に青年海外協力隊員としてケニアに行ったことで、ボランティア精神が高まり、帰国後、教員を辞めて英国と日本の大学院で学び、国際協力機構(JICA)の専門家としてカンボジアの教員養成機関で4年ほど仕事をしました。
授業では、学生に答えはすぐに渡しません。協力の現場でも、答えがないことを扱うことが多いですから。
学生が自分で課題を発見して、調べてみようと思えるような授業を心掛けています。開発教育の一般的な手法なのですが、ゲームやロールプレーイングを取り入れて、「参加型」の教育を行っています。
大阪女学院の魅力は少人数制であることに尽きますね。きめ細かい密度の濃い授業が受けられます。規模の大きな大学だと、一人の教員が20人くらいの学生を受け持つケースもあり、教員が学生の論文を読むのは、本当に最後の段階くらいでしょう。本学の研究科は、教員一人が受け持つ学生は多くて3、4人。常に学生と一緒に走っている感じですね。
国際協力の世界は英語を話して、海外で難しい交渉をしてと、一見華やかです。でもエリート意識は持たないでほしいのです。
学生には、地道に身の周りから協力ができるような人に育ってほしいです。今、日本もさまざまな問題を抱えているので、国内のNGOなどで国内の問題に関わる人も育ってくれればと思います。
今後どんな世界に入るにしても、まず、身の周りの問題に気が付き、人の話に耳を傾けることが大切です。それができる人が、真に国際的に活躍できる人だと考えています。
学生さんに聞きました!
博士課程前期 1年(取材当時) Grace Kaliiさん
大学卒業後にナイロビ郊外のスラムでボランティア活動をした時、人権侵害を目の当たりにし、自分の生活との差に衝撃を受けました。それでも、人々はたくましく、コミュニティを結成して、自らの権利のために戦っていました。その姿は、信じるもののために立ち上がることを私に教えてくれました。大阪女学院大学大学院のカリキュラムはこのスラムでの経験とつながると思い、入学を決心しました。
先生方は国際援助や外交の第一線で豊かな経験を持つ方ばかりで、理論と実践のバランスがよく取れていると思います。授業はディスカッションが中心で、予習復習で多量の文献を読む必要があり大変ですが、先生方が丁寧に指導してくれて、研究に没頭できる環境が整っていると感じます。
将来は国連勤務を希望していますが、どのような機関で仕事をすることになっても、母国のケニアの人々のために働きたいと思っています。
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