2020年国際協力キャリアガイド:
上智大学大学院

 

学校紹介「上智大学大学院」

   キリスト教ヒューマニズムの精神に基づいて世界の人々と歩む「隣人性」と、多様性を取り入れて社会を分断する課題の解決に取り組む「国際性」を重視した教育を行う上智大学。
 同大学は100年以上の長い歴史のなかで、国際機関や国際協力の分野で活躍する数多くの優れた人材を輩出してきた。その伝統を受け継ぎ、2 0 1 5 年に設立された国際協力人材育成センターでは、国際協力を志す学生を手厚くサポートし、何から手を付けたらいいかと悩む学生の心強い味方となっている。
 例えば、国際協力に関わる科目履修、学科で学ぶ専門性と国際協力の関連付け、国連機関や国際協力機構(JICA)などが行うインターンシップへの参加のノウハウ、卒業後のキャリアアップなどについてアドバイスしている。
 学内では、学部や専攻に関係なく横断的に国際協力を学べるプログラムが多数用意されている。例えば、協定校への交換留学や海外の大学院への特別進学制度などの他、実践型のプログラムやインターンシップを通じて海外の現場で学ぶことができる。
 また、全学的に国際協力に携わる教員がいるため、どの学部で学んでもグローバルな視点を身に付けられるところも同大学の強みだ。
 なお、今年度以降、大学、大学院ともカリキュラムを充実させていく。2 0 2 0年秋にはすべての授業を英語で学び学位( 学士) が取得できるSophia Program for Sustainable Futuresが4学科でスタート。また2021年
4月には大学院グローバル・スタディーズ研究科に国際協力学専攻(修士課程)を開設する予定である。

 

先生に聞きました!

経済学部経済学科 准教授・上智大学人間の安全保障研究所貧困ユニットリーダー
倉田 正充先生

専門は開発経済学、農業経済学、国際協力学。人工衛星のデータを使って国際協力の成果を検証している。


 上智大学で教鞭を執る以前は開発コンサルタントやJICAの職員として政府開発援助(ODA)に携わっていました。現在は経済学部で、経済発展の歴史、計量経済学、農業経済学の講義を受け持っています。
 国際協力事業の評価が研究テーマです。途上国での調査といえば、これまでは調査票を持って各家庭を回るスタイルが一般的でしたが、私はここ3年くらい、人工衛星のデータを使っています。経済学では衛星データのようなビッグデータを使う手法は、実はかなり標準化してきているんです。
 例えば貧困、大気汚染、森林、農業生産などのデータが得られるので、これらのデータを用いて協力事業が途上国の社会経済にどう影響を及ぼしているかを分析しています。
 ゼミでは国際協力と途上国の社会経済問題をテーマにしているのですが、こうした人工衛星のデータを使って研究する学生もいます。
 今後は衛星データだけでなくスマートフォンを使ったフィンテックなど、技術を活用して協力の在り方を変えていきたいと考えています。
 去年9月、ゼミのフィールドワークでカンボジアを訪れました。JICAカンボジア事務所を訪問したり、本学が20年以上協力しているアンコール・ワット遺跡修復・保存の現場で指揮を執る先生の話を聞いたりしました。初めて途上国を訪れた学生も多かったのですが、彼らの表情を見ていて、自分が初めて途上国に行った時のことを思い出し、良い刺激になったに違いないと確信しました。
 現場で国際協力に携わっている教員がさまざまな学部や学科にいて、学生に国際協力について教えている。その結果、専攻に関係なく、国際協力に関心がある学生が学内のあちこちに遍在しているのが本学の特徴だと思います。アカデミックな研究だけでなく、実務者としても現場レベルで国際協力に携わっていきたいという人におすすめしたいですね。

 


学生さんに聞きました!

経済学部経済学科 4年(取材当時) 今井 地洋さん

 国際協力によって建設された西アフリカの発電所や変電所が人々の生活をどのように変えたかを衛星データを使って分析し、卒論としてまとめようと考えています。アフリカに興味はあったのですが、なかなか自分一人では行けないため、「アフリカに学ぶ」という大学のプログラムを利用して3週間ほど南アフリカ共和国を訪れました。参加してみて「やはりアフリカは面白い、これから日本や世界がどう貢献していけるのか」という思いが湧いてきてアフリカを卒論のテーマに選びました。
 プログラムには、外国語学部、総合グローバル学部、法学部など、いろいろな学部から学生が参加していました。国際協力に限らず、グローバルに学ぶためのプログラムが本当に豊富に用意されていると感じます。それだけでなく、キャンパスが一つにまとまっている総合大学だからこそ、興味があれば他学部の授業も選択できるし、理系の学生も留学生も一堂に会していて、いろいろな刺激を受けられるところがいいと思います。


『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

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