2020年国際協力キャリアガイド:
長崎大学大学院

 

学校紹介「長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科」

    長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科は、グローバルヘルスの領域で活躍できる人材を育成している。博士前期課程には「熱帯医学」「国際健康開発」「ヘルスイノベーション」の3コースがあり、それぞれ、臨床能力・研究能力を持つ医師、実務専門家、研究者の育成を行っている。
 また、博士後期課程では、国際共同研究において実践的・社会的リーダーを養成しており、グローバルヘルス分野でトップレベルのロンドン大学衛生・熱帯医学大学院と連携した、ジョイントディグリーコースも設けている。
 ロンドン大学と連携する他、著名な研究者や教員を海外から招いており、世界最高水準の教材、カリキュラム、教員による授業が受けられる。その魅力に惹かれて集まった留学生の存在も同研究科の特色の一つになっている。
 現場を知る人材を育てるために、実践重視のカリキュラムが組まれている。特に実務専門家を養成する博士前期課程「国際健康開発コース」では、1年次に短期フィールド研修、2年次にインターンシップと研究による長期海外研修が必修となっている。
 また、「国際健康開発コース」「ヘルスイノベーションコース」には非医療系、人文科学系の学生も積極的に受け入れている。2017年には東京都新宿区の国立国際医療研究センターにサテライトキャンパスを設け、遠隔講義を活用して博士前期課程のみならず、博士後期課程の教育も行い、キャリアアップを図る社会人の要請に応えている。
 多彩なバックグラウンドを持つ学生と共に一流の教員から学べる同研究科は、グローバルヘルスを究めるには理想
的な環境といえるだろう。

 

先生に聞きました!

熱帯医学・グローバルヘルス研究科教授
シャロン コックス先生

感染と栄養、母子保健、疫学、統計学を専門とする


  熱帯医学・グローバルヘルス研究科の大きな魅力は、フィールドワークを重視していることだといえます。保健医療で重要なのは、知識を机上にとどめず、現場で活かすことです。特に、制度や習慣が異なる海外の医療現場では、患者や医療従事者、そして医療課題と柔軟に向き合う能力が大切になります。本科の博士前期課程の学生には、フィールドでの実践を積むため、2週間ほどの短期フィールド研修と、約半年間の国際機関やNGO、各国保健機関などでの長期海外研修を課しています。学生は自分の興味や関心に応じたリサーチクエスチョンを立て、異なる社会環境のなかでどのように課題に取り組むかを試行錯誤しながら、研修やインターンを遂行します。大学側も、学生の希望する機関や団体を紹介するなど、研究活動をサポートします。
 もう一つの強みは、在籍する学生の多様性です。本科には、アフリカやアジアなどの多様な国・地域出身の留学生が多数在籍しています。これらの学生の大半は、母国で保健医療関連の経験を積んでいます。日々のグループワークなどを通して共有される彼らの経験は、他の学生に問題意識や気付きを与え、思考をより深めます。
 また、人文・社会学系の学部出身の学生も在籍しており、彼らの視点や知識も議論を活発化させます。このような学生は、ニーズに応じて基礎生物学などの授業も選択でき、大学としても学生の多様化を推進する体制を用意しています。
 本科ではコースワークを通して、自主的に問題意識を持って行動し、現場でも周囲と協力して柔軟に課題に取り組むことのできる人材を育てています。修了生の多くは、国際協力機構(JICA)や公的保健機関、国際機関へと就職し、即戦力として活躍しています。People who are open minded, non-judgmental and adventurous, come to Nagasaki University.

 


学生さんに聞きました!

ピョーテインギさん

 母国ミャンマーでは保健省職員として公衆衛生業務に従事していましたが、さらに知識を深めたいと思い、JICAが開催した日本の大学の説明会で紹介された、こちらの研究科に入学することを決意しました。長崎大学は国際色豊かで、さまざまなバックグラウンドを持つ学生が在籍しているため、学生同士で学ぶことも多く、刺激のある毎日を送っています。
 公衆衛生分野のなかでも、新型コロナウイルスなどの感染症の予防と対策に興味があります。短期フィールド研修は、フィリピンで公衆衛生政策などについて政府関係者やNGOなど幅広いアクターから聞き取り調査を行いました。今後、世界保健機関(WHO)本部で長期インターンを行う予定で、世界規模での感染症への取り組みについて学びます。
 卒業後はミャンマーの保健省に戻り、長崎大学で得た知識と経験を活かし、人々の健康と安全のため効果的な感染症予防対策実施に携わる予定です。


『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

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