2020年国際協力キャリアガイド:
日本大学大学院

 

学校紹介「日本大学大学院 生物資源科学部国際地域開発学科・生物資源科学研究科」

   農獣医学部を起源とする日本大学生物資源科学部は、国内有数の生物資源の総合研究・教育機関。自然豊かな敷地に、農場や演習林、臨海施設など多様な教育・研究施設が設けられ、併設の大学院生物資源科学研究科では、最先端の応用研究が行われている。
 学部11学科のうち、激動する世界情勢に対応できる「心豊かな国際人」の育成に力を入れているのが、国際地域開発学科だ。食料不安や環境、貧困問題など世界規模の課題解決に資する人材を育てるため、「環境・資源」「経済・開発」「地域・文化コミュニケーション」の3分野を複合的に学べる文理融合教育カリキュラムを用意している。実践的な語学力の習得や、海外でのフィールドワーク、インターンシップを積極的に支援。途上国の課題やその解決手法を具体的に学ぶことができる。
 1年次に「国際協力論」などの必修科目を通じて国際社会の現状把握や外国語の強化を図り、2年次からは「農業・農村開発コース」「グローバルビジネスコース」のいずれかを選択し専門性を高める。続く3年次からは少人数の研究室に所属し、将来の進路を見据えた学習に力点を置く。卒業後も研究を続けたい学生には大学院に進む道もあり、学部と大学院研究科の一体的な教育体制が充実している。
 協定を結ぶ大学への留学など学科独自の支援体制が手厚く、在学中に取得可能な資格のなかには、国際協力の現場で活用される参加型マネジメント手法「プロジェクトサイクルマネジメント(PCM)」も含まれる。国際協力機構(JICA)と大学の連携ボランティア覚書締結もあり、海外協力隊に参加する学生も多く、国内有数の派遣実績を持つ。
 

先生に聞きました!

生物資源科学部 教授
小宮山 博先生
経済学、農牧業経営、自然災害(干ばつ、寒雪害)、気候変動、モンゴルが専門。


  国際地域開発学科の特徴は、理系・文系の枠を超えて、学際的に総合科学を学ぶ点にあります。在籍する学生は文理を問わず多様で、「海外で何かしたい」「人の役に立ちたい」という強い思いを持っています。卒業後にJICAの技術協力専門家や開発コンサルタントとして開発途上国の支援プロジェクトに携わる人もいます。
 語学力や専門知識、高度なコミュニケーションの力が求められる国際協力の仕事は「狭き門」といわれますが、本学科・研究科から巣立った学生が世界で活躍し続けているのは、本人の努力はもちろん、国際開発の現場を知る教授陣の熱心で質の高い教育があるから。特に、アジアやアフリカで技術協力の現場などを視察する「海外研修プログラム」を通じて、多くの学生が見違えるように成長します。
 また、国際地域開発学科では、2015年からJICAと連携ボランティア覚書を締結し、ウガンダの稲作プロジェクトのフィールドに学生を派遣しています。大学に籍を置いたまま海外協力隊員として現場経験を積むことができ、派遣前後に大学や関係者から技術や知識面のアドバイスを受けられるため、学生にとっても現地にとっても効果の高い活動が実現できています。
 私が教員を務める「国際協力研究室」では、特に農業・農村開発分野の具体的な事例をもとに、国際協力の現場の視点から開発途上国の課題について考えます。
 私は長年、モンゴルの乾燥地で研究を続け、農牧業を営む人々の課題に向き合ってきましたが、実は初めから語学や専門知識が備わっていたわけではありません。短大卒業後、外交や国際協力の現場に身を置きながら、時に横道にそれつつ、知見を深めてきました。多くの可能性にあふれた学生の皆さんには、ぜひ今からたくさんのチャレンジをしてほしい。本学には、そのための準備が整っています。
 


学生さんに聞きました!

生物資源科学研究科博士後期課程 3年(取材当時) 蔀 大輝さん

 現在は博士後期課程に在籍しながらウガンダで実施されているJICA技術協力プロジェクトにJICA専門家として勤務しています。コメに対するニーズが高まるアフリカでは、JICAにより30カ国以上で稲作産業発展のための取り組みが進められており、ウガンダでもコメ生産量増大・生産性向上のための技術協力が求められています。
 高校時代は海外に特段の関心はありませんでしたが、日本大学生物資源科学部入学後に、海外研修プログラムに参加し、海外でのフィールドワークの魅力を知りました。また、修士課程在籍時に調査で訪れた農家からオレンジの栽培方法の改善点を問われた際、何も答えられず、とても悔しい思いをしました。そこで、もっと実践的な知識と技術を身に付けたいと思い、大学の後押しを受けて大学連携制度を活用し青年海外協力隊に参加しました。ウガンダの稲作支援に携わり、その経験が今につながっています。研究を実践に応用していくことは一筋縄ではいきませんが、農民の喜びの声が原動力です。


『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

コメント

タイトルとURLをコピーしました