2016年国際協力キャリアガイド:
神戸情報大学大学院

 

学校紹介「神戸情報大学大学院 情報技術研究科 ICT イノベーターコース」

 「ICTを活用して解決できる課題が世界にはたくさんある。教育や医療、福祉、農業など各分野の開発課題とICTの両方を理解すれば活躍のチャンスは無限大に広がる」。神戸情報大学院大学は、アフリカの行政官に向けて初めてICT研修を実施して以来、そんな確信を持ち続けている。
2013年に生まれたICTイノベータコースには、現在アフリカや中東、アジアの留学生を中心に74人が在籍している。その大きな特長は、社会課題解決のためにICTを活用したソリューションを立案する「探究実践」と呼ばれる手法である。留学生が自国で抱える課題について、ともに考えながら効果的な解決策を練り上げる過程で、実践的なノウハウを身に付けることができる。
また、途上国で近年普及しつつある携帯電話などのネットワーク、無料でソフトウェアを開発できる「OSS(オープン・ソース・ソフトウェア)」を活用したシステム実装力の習得にも力を入れており、途上国の課題解決のために「イノベーション」を起こすベースとなる技法を積極的に取り入れている。英語で授業が開講されているが、英語力に自信がない学生には日本語での授業も用意されている。

 

先生に聞きました!

情報技術研究科
伊藤 守 研究科長・教授


開発途上国が急成長を遂げる一方、社会にはたくさんの課題があります。留学生が多数在籍する本学は、ICTの基礎から応用までを体系的に学び、その知見を現場で実践できるプログラムが充実しています。私自身は電機メーカーで情報通信機器や車載ソフトウェアなどの開発やマネジメントに従事してきました。国内外のビジネスや開発の現場で経験を積んだ教授陣がそろっているのも、本学の特長と言えるでしょう。プロの技術者とは、市場の要求を的確に把握し、それに応えていける人材です。新しい技術や製品・サービスが市場を席巻し、現在の技術がすぐに陳腐化する中、社会に貢献できる技術者になるには、顧客の要求を待つのではなく、新たな価値を創り出していくことが必要です。私たちと一緒に、社会課題の解決に向けて、真のイノベーションを起こす準備を始めませんか。

 


世界の留学生とともに未来を創る

「日本で学んだことを母国の発展のために生かしたい」。神戸情報大学院大学では、そんな志を持つ留学生たちが学ぶ。彼らの多くは開発途上国の行政や教育機関、民間企業などで働き、社会の課題をICT(情報通信技術)を生かして解決したいと奮闘している。
ICTとひと口にいっても、その研究範囲は幅広い。例えば、アフガニスタンからの留学生は、日本の交通ICカードシステムの技術を母国の交通渋滞やバス遅延の解消のために活用しようと研究を続けている。また、エチオピアの留学生は、農業省の勤務経験を踏まえ、天候や作付け状況、家畜の病気、市場卸値などの情報を一般の農業従事者に届けられるよう携帯電話のネットワークを生かした情報共有システムの開発を進めている。
発達障害の子どもたちの個性に合わせた教育ツールとして、アイトラッキングという技術を活用したシステムの開発に取り組む日本人学生もいる。本研究科在学中に外国の駐日大使館に就職が決まり、東京で働きながら修士論文の執筆を続けている。留学生と一緒に行うグループワークをはじめ、実態に即したテーマで実施されるディスカッションを通じて、日本の学生の英語力は飛躍的に向上する。途上国の問題を理解し、課題解決に向けて貢献するICT技術を習得できることは言うまでもない。


『国際協力キャリアガイド2020-21』掲載

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