2022 年2 月10 日に、名古屋大学GSID 創設30 周年記念国際シンポジウムをオンラインで開催。46 カ国から約300 人が参加
修了生は政府の事務次官や大学学長に就任
名古屋大学の大学院国際開発研究科(GSID)は、日本初の国際開発分野の専門大学院として1991 年に創設され、昨年30 周年を迎えた。在学生の約7割が外国人留学生で、創設当初からほぼ全ての科目を英語で開講。実践的教育を重視し、学生が東南アジアの農村地域に滞在する「海外実地研修」も行っている。
岡田亜弥研究科長は「国内にいながら、海外留学と同様の環境を提供していると言えます」と、特色を強調する。博士前期課程・後期課程では、これまでに日本を含む98 カ国から2,300 人を超える修了生を輩出。留学生には、国費留学生や国際協力機構(JICA)やアジア開発銀行(ADB)の奨学金を得た途上国政府の省庁の職員が多い。2021 年からは、同大学による支援として、アフガニスタンの元留学生もアカデミック・フェローとして受け入れている。
修士号あるいは博士号を取得した修了生には、母国の政府や国際機関の要職に就く人が多い。その中には、インドネシア政府の経済分野の事務次官、キルギス中央銀行総裁、カンボジアの大学学長、国連食糧農業機関(FAO)地域事務所代表なども含まれる。「GSID では、さまざまな経験を積んだ幅広い年代の留学生と英語で話し、議論できます。授業も英語で行われるので、外国ならではの文化や感じ方を知りながら、将来、国際開発分野のリーダーとして活躍したい人におすすめです」と、自身もGSID で学んだカルロス・メンデス准教授は力説する。
社会人向け1 年コースも新設
GSID は、国際開発協力専攻という一専攻の下に「経済開発マネジメントプログラム」「平和とガバナンスプログラム」「貧困と社会政策プログラム」など5つの学位プログラムを提供し、学生は入学時に主専攻として1つを選択する。別のプログラムを副専攻として学ぶこともでき、単位数など条件を満たせば主専攻・副専攻とも修了証書が授与される。
さらに2018 年のカリキュラム改革で、博士前期課程に新しく2つのプログラムが加わった。1つ目は途上国・新興国への海外展開を見据える企業の社員向けに開講する「グローバル企業人材育成特別課程」だ。「通常2年の博士前期課程を1年で修了するプログラムで、指導教員と相談して、実務において必要となる知識を集中して学ぶことができます」(岡田研究科長)
もう1つの「グローバルリーダー・キャリアコース」は、国連など国際機関で働くために必要なスキルを習得するプログラムで、通常の博士前期課程修了に必要な単位に加え、実践的科目も学ぶ。国際機関で活躍している外部講師か
ら経験談などを聞けるため、上級キャリアを目指す学生に好評だ。
[2022年国際開発ジャーナル8月号掲載]
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