「長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科 熱帯医学コース/国際健康開発コース/ヘルスイノベーションコース(旧・医薬歯学総合研究科熱帯医学専攻/国際健康開発研究科国際健康開発専攻」
本研究科は、従来の「医歯薬学総合研究科熱帯医学専攻」と「国際健康開発研究科国際健康開発専攻」を統合する形で2015年10月に誕生した。グローバルヘルス領域に貢献する人材育成のために、臨床医を育てる「熱帯医学」、実務専門家を養成する「国際健康開発」、大学や企業などの研究者を養成する「ヘルスイノベーション」の3つのコースで人文社会学系を含む多分野の学生受け入れが可能である。講義は英語で行われ、熱帯地域や開発途上国における保健医療の研究・実践経験が豊富な講師陣に加え、ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院と本研究科を併任する外国人教員の講義を留学生とともに受講することができる。コースによって短期フィールド研修や最大8カ月におよぶ長期海外研修があるほか、熱帯医学コースでは熱帯病の症例が多いフィリピンの病院で臨床実習などができる。修了生の進路は、世界保健機関(WHO)をはじめ国際機関や医療研究機関、開発コンサルタント、官公庁、NGOなど幅広い。
先生に聞きました!
熱帯医学・グローバルヘルス研究科 神谷 保彦 教授
本研究科の目的は、グローバルヘルス領域の課題解決に挑む人材の育成です。「熱帯医学コース」「国際健康開発コース」「ヘルスイノベーションコース」の3コースから構成され、「国際健康開発コース」では、熱帯医学や公衆衛生の基礎を学んだ後、保健政策や援助論などの応用科目を通して、マネジメントの方法論などを学びます。その後の短期フィールド研修、臨床実習、インターンシップで現実の問題や現地の困難に対応する経験を積み、自立した実践能力を身に付けます。世界で活躍するには、グローバル化の中で格差が拡大していることを認識しつつ、誰とでも一緒に活動できる適応能力、多様な関係者にかかわる調整能力が求められます。そのうえで、地域の持続的発展に向けてグローバルな視野に立って支援し、長期的な展望と責任感を備えた人材を育てていきたいと思います。
学生さんに聞きました!
世界保健機関(WHO)ベトナム事務所 予防接種部門 技官飯島 真紀子さん(国際健康開発研究科2012年修了)
世界保健機関(WHO)ベトナム事務所の予防接種部門の技官として、同国保健省の技術的アドバイザーを務めています。小児科医として進路に悩んでいた頃、自分の原点だった海外の仕事への興味に立ち返ってみました。国際保健
に少しでも貢献したいと考え、現場に飛び込む前に学ぼうと大学院を探していた時、長崎大学に誕生した本研究科を見付けました。
経験豊富な先生方、さまざまな背景を持つ同級生と接し、その自由で多様性に富んだ雰囲気に「日本社会にもこんな所があるのか」と驚きました。疫学、統計学、経済学、マネジメントなどを幅広く学びましたが、最も心に残っているのは人類学です。決まった解答がある医学を学んできた私にとって、何て面白い学問があるものかとわくわくしたものです。自分が信じるものに向かっていく大切さを肌で学んだほか、医療は人々を支えているが、それは生活のほんの一部に過ぎないということを実感できたのも、私にとって大きな収穫でした。
当地では病院で臨床だけ行っていては思いも及ばなかった出来事に次々と直面し、どのように一国の保健政策が進んでいくのか、WHO職員として何が求められているのか自問自答の毎日です。ことあるごとに長崎大学の日々を思い出し、あの時のあの人のあの言葉はこういう意味だったのかと、今になって気付いたりしています。
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