2016年国際協力キャリアガイド:
横浜国立大学大学院

 

学校紹介
「国際社会科学府 国際経済法学専攻」
横浜国立大学大学院・国際社会科学府は、東日本の国際開発研究の拠点だった国際開発研究科を前身としている。その伝統を踏まえ、国際経済法学専攻博士課程前期に2016年度開設されたのが「国際開発ガバナンス教育プログラム(EP)」である。同プログラムは、途上国の開発に関する政治学、行政学、法学、国際協力論などの基礎知識や方法論を1年次に集中的に履修し、2年次は国内外でのフィールドワークやインターン活動を通じて、実践的な知識を習得する。国際協力機構(JICA)や国際機関と連携した研修などの機会も多い。博士課程後期には、経済学や経営学を含む学際的視点で国際開発を学ぶ「国際公共政策EP」が用意され、国際公共政策を軸に開発課題を研究する日本でも数少ない博士課程となっている。また、博士論文研究基礎力考査コース(QEコース)は、博士前期・後期の全プロセスを通して修了することが可能であり、国際開発分野の専門家になるための“最短ルート”としても活用できる。

 

先生に聞きました!

国際社会科学研究院 (国際協力論担当) 小林 誉明 准教授


本学の国際開発ガバナンス教育プログラムは、開発途上国の国づくりに欠かせないガバナンス分野の高度な専門人材育成を目指しています。ガバナンスとは、資源の配分を上手にかじ取りする公共部門の制度的能力を意味し、そこには適切なルールや政策を「決定」して「実行」し、「適用」する過程があります。この一連のプロセスは立法・行政・司法として相互に関連しており、どんな適切な法律を策定しても、それを実行する行政官がいなければ意味がなく、効率的な行政システムがあっても、その行為の適法性を判断する司法の能力がなければ機能不全に陥ってしまいます。本プログラムでは「ガバナンスを見る眼」を養うために開発政治、開発行政、開発法、国際政治、国際行政、国際法、社会保障政策を専門とする教員をそろえ、政治学、行政学、法学の系統的な学びを実現しています。
 


学生さんに聞きました!

国際社会科学府 国際経済法学専攻 博士課程後期 エソダ・バスネットさん

開発途上国の女性のエンパワーメント(社会参加)について、母国ネパールのケーススタディを通して研究しています。教育は子どもたちにとって大切なだけでなく、子どもを学校に通わせる母親たちにも社会参加をもたらします。ネパールの公立学校には学校運営委員会があり、そこで活動することは女性にとって勉強の機会になり、社会に参加する意欲と意識を高める効果があると考えています。開発の視点では、そうした女性のエンパワーメントは生活の改善、地域の活性化にもつながります。
首都カトマンズ近郊で生まれ育った私が日本に関心を持ったきっかけは、中学時代に日本の大学生がホームステイに来たことです。高校卒業後、両親を説得して来日し、日本語学校や専門学校を経て、大学に編入して観光学を専攻しました。その際に観光産業が地域住民にどんな恩恵や変化をもたらすかに興味を持ち、開発問題を学ぼうと本学府に入りました。横浜国大は留学生の生活全般までサポートするチューター制度があり、安心して学べるほか、世界中から留学生が来ているので、日本だけでなく多様な文化に接することができます。2015年のネパール地震では、留学生と日本人学生が協力して募金活動を行いました。将来は日本で学んだことを生かして、国連機関や援助機関などでネパールの発展に役立つ仕事ができればと思っています。


『国際協力キャリアガイド2016-17』掲載

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