2021年国際協力キャリアガイド:北海道大学大学院

 

学校紹介
「北海道大学大学院 国際広報メディア・観光学院」
「フロンティア精神」「国際性の涵養」「全人教育」「実学の重視」を基本理念に掲げ、国内外の大学評価ランキングでも常に上位に位置する北海道大学。総合大学として文理多領域にわたる12学部と25の大学院を持ち、学内には多数の研究施設も併設する。その一つ、国際広報メディア・観光学院は、「観光」と「メディア」の両分野を学べる日本で唯一の国立大学大学院。国際広報や公共ジャーナリズム、言語コミュニケーション、メディア文化などを含む「国際広報メディア研究」、観光文化や交流共創、観光地域経営、国際観光開発などを含む「観光創造研究」、さらにこれらの領域が交わる部分を研究する「融合領域研究」の3分野を軸に、多様な研究を展開している。経済学研究院、公共政策大学院、アイヌ・先住民研究センター、農学研究院、情報科学研究院など、学内の他の大学院と連携した授業も受けることができる。教員には現役の国際協力機構(JICA)の専門家として活躍する人もいる。観光政策や開発学、マーケティング言論に加えて、多文化共生、ジェンダー論など、国際協力の現場を伝える専門講義も数多く開講する。大手旅行会社やマスコミなどから講師を招いての講義も好評だ。グローバル教育にも力を入れ、例えばシェフィールド大学(英国)、ヘルシンキ大学(フィンランド)、メルボルン大学(オーストラリア)など複数の 大 学 とTandem LanguageLearning Projectと 呼ばれるプログラムを実施。各国で日
本学を学ぶ大学院生とペアを組み、研究の相互支援を通じて交流を深めている。また協定校のバルセロナ大学(スペイン)のサマースクールへの参加や招へい教員による講義を受ける機会もある。

 

先生に聞きました!

国際広報メディア・観光学院 准教授 岡田 真弓先生


私はもともと中東をメインに文化遺産の保全と活用の在り方について研究しており、この大学院に着任したのは2020年。現在は「観光を通した文化交流と文化遺産の保全」をテーマに授業を行っています。地域創造論演習の授業では、阿寒湖でのフィールドワークを通じ、アイヌ文化と豊かな自然という複数の観光資源を組み合わせた地域発展について考えます。本研究科に着任して感じたのは、「コミュニティ・ベースド・ツーリズム」の考え方をとても大切にしているということ。経済的メリットだけを重視して観光を進めれば、地域は破綻へと向かいます。そうなれば観光資源である自然や文化も保全できなくなることを、教員も学生たちも十分に意識しながら教育・研究にあたっています。学生の出身は文系・理系さまざまで、関心もエコツーリズムやコンテンツツーリズム、ランドスケープデザイン(景観計画)、地域政策など多岐にわたります。「観光学を学ぶのは初めて」という学生も多く、オムニバス形式の初学者向け講義も設けています。


学生さんに聞きました!

国際広報メディア・観光学院修士課程1年 石森 咲穂さん

他大学の英文科で学びましたが、コロナ禍における日本の観光政策に疑問を感じ、大学院に進学して観光について深く学びたいと思うように。観光学を学べる大学院はあまり多くありませんでしたが、その中でも本学は観光資源、文化遺産、観光政策、コンテンツツーリズムなど、先生方の研究領域が非常に幅広いのが魅力でした。外部進学となり不安もありましたが、本学院の先生にメールで相談し研究室訪問をしたところ、親身に研究計画の相談に乗っていただき、安心して入学することができました。実際、本学院の学生はさまざまな大学・学部から集まっているので、外部進学者でもすぐに慣れることができる環境です。研究テーマには、観光政策を選びました。特にコロナ禍で注目された「トラベル・バブル」の政策構造について研究しています。社会人経験者、留学生が多く、同年代では考えられないような多様な視点からの意見を聞くことができ、大変参考になっています。選択科目では学内の他の大学院の授業も受けられるので、非常に幅広い学びができ世界が大きく広がりました。修了後はこれまでに学んだ「英語」「コミュニケーション」「観光」を組み合わせた実務的な仕事に携わりたいと思っています。旅行会社の方とフィールドワークで訪問した北海道鵡川(むかわ)町で、観光開発プランの重要性を実感した経験から、観光地開発にも興味を持ち始めています。
 
(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

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