2021年国際協力キャリアガイド:宮崎大学大学院

 

学校紹介
「宮崎大学大学院 医学獣医学総合研究科/産業動物防疫リサーチセンター」
日本有数の畜産県に位置する宮崎大学は、 「世界を視野に 地域から始めよう」をスローガンに掲げ、宮崎を学びのフィールドとして世界の変化を学び、活力ある社会の創造に向けて行動する"グローバルデザイナー" の育成を目指している。医学獣医学総合研究科は2010年4月、日本で初めて設置された医学と獣医学が連携・融合した大学院で、博士課程は高度臨床医育成、高度獣医師育成、研究者育成の3コースで構成される。医師や獣医師として現場での活躍のみでなく、研究マインドも併せ持った高度専門職業人の育成を目指している。また、2010年に宮崎県内で流行した「口蹄疫」の経験から、同大学は2011年に産業動物防疫リサーチセンター(CADIC)を設立。国や県、民間の農業団体などと連携して産業動物と感染症に基軸を置いた教育・研究に力を入れている。CADICは全学的なセンターで所属している教員の専門も獣医学のみならず医学や工学、農学など幅広い。2013年から主に社会人を対象としたグローバル人材育成プロジェクトも開始。「国際防疫」「危機管理」「防疫対策」「検疫・診断学」「海外実地派遣」の五つのコースワークと「公募型共同研究」を加えた六つの取り組みを軸とし、大学・大学院の学びとも掛け合わせて、産業動物防疫分野においてグローバルに活躍できる人材の育成を進めている。そのうち海外実地派遣コースワークは獣医学科の学生から参加を募り、CADICが持つネットワークの留学先で研究を行う。留学先との調整は教員がサポートするが、実施期間や研究内容などの計画は応募時に学生が立案するのが特徴だ。

 

先生に聞きました!

獣医師産業動物防疫リサーチセンター 教授/農学部 教授(兼任)/ 吉田 彩子先生


CADICの特徴の一つは、多岐にわたる分野の研究者が所属していることです。感染症を研究する獣医学や医学、産業動物の育種や飼養管理を研究する畜産学はわかりやすいですが、他にも感染拡大につながる移動、交通インフラを研究する工学の研究者、畜産農家での防疫と経済活動の両立を図るための経済学の研究者がいます。CADICでは、感染症分野のみで対応していた従来の古典的な防疫研究から脱却し、幅広い分野の研究者集団による異分野融合型の産業動物防疫研究を通じて、産業動物感染症制御による「持続可能な食糧生産」への貢献を目指しています。感染症研究にも注力しており、動物感染症のみならず人獣共通感染症研究にも積極的に取り組んでいます。また、タイでの産業動物感染症防疫体制と安全な食肉処理技術の確立を目指す共同研究が「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」にも採択され、宮崎の口蹄疫防除の経験をもとに、グローバルな産業動物防疫専門家を育成しています。


学生さんに聞きました!

農学部獣医学科6年 徳田 麻実さん
幼い頃から動物が好きで、旭山動物園の坂東元園長に憧れて獣医師を目指すようになりました。大学では、動物園で流行中の寄生虫とその対策の他、新型コロナウイルス感染症などの人獣共通感染症についても勉強しています。寄生虫の研究を始めたきっかけは、高校生の時、大学のオープンキャンパスに登場した学生さんの発表が、“寄生虫愛”にあふれた面白い内容だったからです。宮崎大学は、自然豊かな環境で野生動物の研究がしやすいのが魅力です。フィールドワークでは、サワガニや野生馬のふんを採取して調査するなど、ここでしかできない学びがあると思います。国際平和文化都市である広島で育った私は、さまざまな国の人と共有する空間が好きで、世界中の留学生が集まる宮崎大学の国際色豊かな雰囲気も肌に合っています。研究室にはアフガニスタンとベトナム、タイ出身の学生が在籍し、彼らの研究内容や日常の何気ない会話を通じて視野が広がり、海外の文化や習慣、衛生環境などについて調べたりすることもあります。
2021年に米国のアリゾナ大学へ留学する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまいました。将来は国際免許の取得も考えていて、海外でより幅広い動物への獣医療を勉強し、動物園獣医師や野生動物の保護に携わる道に進みたいと思っています。
 
(本内容は、取材当時の情報です)

『国際協力キャリアガイド21-22』掲載

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