官・民と関西大学が連携し 多彩な視点でCO2 削減に挑む 関西大学 カーボンニュートラル研究センター

設立記念シンポジウムで挨拶する北原聡センター長

空飛ぶ車やメタネーション技術に注目
関西大学(大阪府)は、2022 年10 月1日に「カーボンニュートラル研究センター」を開設した。センター長は経済学部の北原聡教授、副センター長は化学生命工学部の上田正人教授が務める。
そして同年10 月19 日、同センターの設立記念シンポジウムが千里山キャンパスで開かれた。センター長、関西大学学長などの挨拶後、大学共同利用機関法人総合地球環境学研究所(地球研)の山際壽一所長と、環境省大臣官房総合政策課環境教育推進室の河村玲央室長が基調講演を行っている。山際所長は里山の再利用方法や、健全な地球環境が人間の健康とも直結する「One Health」の考え方、そして科学と文化のマッチングによる気候変動対策を提唱し、河村室長と共に大学や官公庁が連携して対応することが重要だと訴えた。
同シンポジウムでは、関西大学と連携する関西電力(株)、およびDaigas グループ(大阪ガス)によるカーボンニュートラル実現に向けた取り組みの発表もあった。2025 年に大阪・関西万博が開催されることもあり、それに向けた移動手段の電動化(空飛ぶ車、EV 船)や、同万博で出る廃棄物を利用して二酸化炭素(CO2)を合成メタンに変換する「メタネーション技術」などが注目を集めた。 さらに同大学の3人の教員も講演。「気候変動対策を企業の経営・会計という視点で評価する」「リチウムイオン電池など高性能蓄電池を開発・活用する」など、それぞれ異なる学部の観点からカーボンニュートラルの実現に向けた道筋を発表した。

2030 年、50 年へのロードマップも作成
同大学では、これまでも多くの教員がカーボンニュートラルに関心を持ち、多様な研究を提案してきた。一方、大学内での情報共有や、学外への発信は十分にできていなかった。そうした役割を担う新たな組織が必要であり、新センターが創られたのだ。
同大学ではカーボンニュートラルの実現を目指す取り組みが、大学のさらなる発展と持続可能な社会の実現に寄与すると考え、2050 年に向けたカーボンニュートラルのロードマップも制定した。「人材育成と研究活動の促進」「社会・地域との連携」「CO2 の排出量を2030 年度に50%減らし、2050 年にカーボンニュートラルを目指す」といった達成目標を掲げている。今後、そうした目標の達成に向けた研究活動、学生へのフィードバック、大学間連携や産学官連携なども、主に同センターが担っていくこととなる。

[2023年国際開発ジャーナル2月号掲載]

コメント

タイトルとURLをコピーしました