<無償資金協力>
北部地域中核病院の機能を強化し住民の健康と暮らしを守る
アフリカ東部に位置する内陸国ウガンダでは、質の高い保健サービスの基盤となる医療施設・設備、機材など保健インフラの未整備が大きな課題になっていた。この課題に対し、同国政府は保健セクター開発計画(2015/16 ~2019/20)を策定し、基礎医療施設の機能向上、保守管理体制の強化、さらに地域医療体制の整備を通したリファラル体制(国家リファラル病院、地域中核病院、県病院、ヘルスセンター間の連携体制)の構築に注力してきた。特に整備が急がれたのは北部地域だ。
北部ウガンダでは地域中核病院の患者数が増加し、施設・医療関連機材などの改修・拡充が求められていた。中でも 1980 年代から20 年近く続いた内戦の影響を最も強く受けたアチョリ地域(グル病院)、ランゴ地域(リラ病院)、ウエスト・ナイル地域(アルア病院)の3中核病院における施設の老朽化は激しく、診察を行うために必要な医療機材も不足していた。そこで同国政府は無償資金協力を日本政府に要請した。国際協力機構(JICA)による協力準備調査は 2016 年と 17 年に実施され、グル、リラ、アルアの3地域中核病院の建設と医療関連機材の整備が進められた。
竣工は 2021 年度。グル病院は手術、救急、ICU 部門と産科病室、リラ病院は外来、救急、母子保健部門に加え歯科診療室、またアルア病院では外来、救急部門、歯科診療体制が整備され、それぞれ医療機材も大幅に拡充された。今回の協力は、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)推進として、北部ウガンダにおける保健サービスのアクセスと質を改善し、地域住民の暮らしと健康を守ると共に同国の保健セクター開発計画、さらに持続可能な開発目標(SDGs)の達成に大きく貢献している。北部地域中核病院の機能を強化し住民の健康と暮らしを守る
■コンサルティング
・株式会社横河建築設計事務所
・インテムコンサルティング株式会社
■施工
・岩田地崎建設株式会社
(国際開発ジャーナル2023年3月号)