< 無償資金協力 >
基礎医療へのアクセス改善と安全・効率的な医療サービスの提供に貢献
ザンビアでは、基礎的な医療サービスを提供する郡病院など一次レベル病院を人口8万~ 20 万人あたり 1 カ所設置することが基準になっており、国家保健戦略に基づきその整備を進めている。しかし、急激な人口増加が続く都市部では一次レベル病院の不足が顕在化しており、二次、三次レベル病院が簡易な手術などにも対応せざるを得ず、本来の機能を十分に果たせなくなっていた。事態を重く見た同国政府は、首都があるルサカ郡における一次レベル病院の整備を進めており、医療へのアクセスは徐々に改善されつつある。
他方、第2、第3の人口を有するコッパーベルト州のキトウエ郡とンドラ郡では、軽傷治療、予防接種、正常分娩などの基本医療サービスを提供する保健センターは約 30 カ所ずつ設置されているものの、簡易な手術や帝王切開などに対応する一次および二次レベルの公的医療機関がなく、既存の第三次レベル病院への負荷が非常に大きい状況にあった。そこで同国政府は両郡において保健センターを一次レベル病院に機能強化する計画を策定。日本政府に無償資金協力の実施を要請した。
本計画により、保健センターが一次レベル病院に格上げされ、外科、内科、産科、歯科外来といった新たな診療科や手術部門、分娩部門、画像診断部門、検査室などが設けられる。これまで 8 ~9km 離れた教育病院まで診療を受けに行かなければならなかった計画地域に住む患者は、短時間で基礎医療サービスの受診が可能となり、利便性が増す。それにより既存の三次レベル病院に掛かっている負荷が軽減される効果が期待される。さらに、患者及び医療従事者の動線に配慮した施設・機材の整備により、安全かつ効率的な医療サービスの提供が可能となる。
■コンサルティング
・株式会社大建設計
・株式会社ビンコーインターナショナル
■施工
・清水建設株式会社
(国際開発ジャーナル2023年3月号掲載)