<技術協力プロジェクト>
「Withコロナ時代のニーズ」を踏まえた医療廃棄物管理能力の向上を支援
バングラデシュの廃棄物管理分野における日本の支援の歴史は長い。2003 年の開発調査に始まり、そこから約 19 年間、さまざまなプログラムを活用しながら、首都の南北ダッカ市を中心に廃棄物管理能力強化の協力を継続している。直近では、技術協力「バングラデシュ国南北ダッカ市及びチッタゴン市廃棄物管理能力強化プロジェクト」が 2017 年 6 月から2022 年 5 月まで実施された。
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本プロジェクトも支援内容を柔軟に変更しながら継続することを余儀なくされた。感染拡大初期には、都市の衛生環境を守るために、いち早く廃棄物管理の現場職員らを対象に、安全具の配布や感染予防の啓発などを遠隔で実施した。加えて、廃棄物管理の現場では、医療廃棄物の増加や感染性廃棄物の一般廃棄物への混入など、新たな問題に直面した。そこでプロジェクトのスコープを変更。チョットグラム市を対象に医療系廃棄物管理改善支援を新たに実施することとなった。
この活動では、パイロットプロジェクトとして、ハリシャハール処分場内に医療系廃棄物焼却炉(処理能力 200kg/ 時間)を 1台導入し(2022 年 1 月稼働開始)、モデル病院の医療系廃棄物を処理するシステムを構築した。また、医療系廃棄物関係機関が参加する医療廃棄物管理委員会を設立し、医療系廃棄物のモニタリング体制を強化した。その結果、同国環境局による不法引き抜きや不法投棄を禁止する通達などの行政指導が行われ、焼却炉稼働開始当初は約300kg/日だった医療系廃棄物の焼却量が約 900kg/日に増加するなどの成果が見られた。
これらの取り組みは、ポストコロナ社会に向けて先駆的に実施した追加支援であったことから、同国内のみならず、他国での医療系廃棄物管理能力強化のモデル事業としても大いに注目されている。
■コンサルティング
・八千代エンジニヤリング株式会社