国際機関を目指すプログラムとコース
多極化が深まる世界において、平和や人権などの分野で国際機関や外交が担う役割が大きくなる中、国連・国際機関で働く職員や国際分野の政府系職員として活躍できる人材を輩出するため、2014年、関西学院大学に「国連・国際機関へのゲートウェイ構想」が計画された。大学院副専攻「国連・外交コース」と学部副専攻「国連・外交プログラム」は、その核となる。
学部の「国連・外交プログラム」は、定員20人の少人数制で同大学の全14学部の学生がチャレンジできる。国連・外交の基礎知識を身に付けるとともに、ニューヨークで実施する国連セミナーや途上国での国際ボランティア・フィールドワークなどを通じて実践力を鍛え、大学院の国例・外交コースやその先のキャリアに備える。
また、大学院の「国連・外交コース」は、所属する研究科で専門性を磨きつつ、副専攻の同コースで国連・国際機関職員へのキャリア形成や国際機関のマネジメントやガバナンスを学ぶ科目を履修する。授業は全て英語で、留学生を交えたグローバルな環境下で、ディスカッションやプレゼンテーション、リサーチを繰り返し、国際社会の現場で必要な力を養う。実務経験を積む場として、国連などでインターンシップが必修である点も特徴的だ。
コースの受講料は不要で、所属する研究科の学費についても授業料全額支給や半額支給など大学院生に特化した支給奨学金制度が充実しており、海外留学の半分以下の費用で世界に通用する力を身につけることができる。
わが大学が目指す2030年
関西学院大学では従来から各キャンパスに先端的な省エネ設備を導入するなど、CO2削減に取り組んでいます。中でも、神戸三田キャンパスでは「持続可能なエネルギー」を重点テーマに定め、学生が企業と共同開発したマイボトルの利用により、年間10万本規模のペットボトル削減を推進しています。多くの学生が高い環境意識を持っており、2021年からは、学生団体「Re,colab KOBE」が里山・里海の再生の一環として、地域と連携して神戸市内の池と海で藻を育て、ブルーカーボンを増やしています。大学全体でCO2削減の機運が高まる中、2022年度からはカーボンニュートラル推進本部を設置し、組織的な取り組みを推進しています。
卒業後のキャリアに通用する指導を
久木田 純先生（GU招聘客員教授：社会心理学、教育心理学など。国際機関人事センターチーフコーディネーター）
国連児童基金（ユニセフ）の職員として、30年近く世界各国で働き、国連職員の育成にも関わってきました。その経験とネットワークを生かして、他にはない総合的な国際公務員養成プログラムを提供しています。国連職員として働くためには、国連諸機関で定められている資質「国連コンピテンシー」の獲得が必要です。グローバル人材のモデルでもある国連職員への道は険しいですが、明確な使命感と能力のある日本人の採用を増やしたいと考えています。国連・外交コースは、国連の採用基準に基づく体系的なカリキュラムで編成され、実践的な応用力と、国際的な競争力を徹底的に指導します。
使って！この授業・この制度
国連・外交コースは、約２カ月～半年のインターンシップが必修。国連・国際機関や政府系機関、国際ＮＧＯなどで実践的な経験を積んだ学生は大きく成長します。教員の多くが国連や外交分野での実務経験を持ち、その豊富な知見をもとに、一人一人のキャリア設計までもサポートします。
また、外務省の国際機関人事センターと連携する「関西学院大学国際機関人事センター」では、国連・国際機関へのエントリーからミッドキャリアまで、コース修了後も手厚いサポートを受けられます。国連・外交の道に進んだ修了生の多くが、同センターのカウンセリングや情報サービスを利用しています。
学生（卒業生）の声
自然を利用した幼児教育で豊かな環境を目指す
大黒怜さん（総合政策研究科 博士課程前期課程1年 国連・外交コース）
大学３年生のとき、「資源循環型社会論」の授業で世界の廃棄物問題について知り、先進国に住みながら“格差”や環境問題を作り出す側にいると気づきました。自然保護の観点から国際協力に携わりたいと考え、具体的な道筋を探るために、総合政策研究科に進学し、副専攻の国連・外交コースを専攻しました。
里山整備ボランティア
現在、インターナショナルスクールのボランティアを続けながら、「森のようちえん」について研究しています。自然環境を利用した幼児教育について国内外の事例を調査しながら、環境分野の政策について学んでいます。国連・外交コースでは、キャリアセミナーや国際機関などでインターンシップの機会があり、事前に提出書類の書き方や面接対策をサポートしてもらえるのが魅力です。世界の第一線で活躍されてきた先生方の指導はとても厳しいですが、多角的な視点を得られ、英語でのプレゼンテーションやライティングの力とともに課題発見力・論理的思考力など国際社会で必要な力を身につけている実感があります。将来は国際NGOなどで働き、自然を守りながら途上国の人々と共生していけるような仕事をするのが夢です。
森の幼稚園でのボランティア
学校DATA
・名称：関西学院大学｜大学院副専攻「国連・外交コース」／学部副専攻「国連・外交プログラム」
・取得可能な学位：副専攻修了証書（大学院：主専攻の修士号、学部：主専攻の学士）
・定員：15～20人（大学院）、20人（学部）
・学費：コース受講料は不要（所属する研究科、学科の学費が必要）
・奨学金制度：あり（本学大学院独自の支給奨学金（全額・半額等））
・所在地 ： 〒662-8501 兵庫県西宮市上ケ原一番町1-155
Tel ： 0798-54-6436
Mail ： unfa@kwansei.ac.jp
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です）
