社会基盤形成と環境保全の専門家集団
いであ株式会社は、環境のコンサルタント分野で業界トップの国土環境株式会社と、建設コンサルタント分野に強い日本建設コンサルタント株式会社が合併し2006年に誕生した。安全・安心で快適な社会の持続的発展と健全で恵み豊な環境の保全と継承を支えることを通じて社会に貢献することを目指し、環境アセスメントや生物多様性に関わる調査や気象関連の観測、食品の安全性の分析と評価、環境にやさしいインフラの計画・設計、河川や海岸の整備・保全など、さまざまな事業を展開している。
海外事業部部長の佐々倉諭さんは「途上国の環境問題は海洋プラスチック、化学物質などの越境的汚染や生物多様性など複雑化しており、複合的なアプローチが必要だが、当社が国内外で培ったノウハウや技術で貢献できるのではないか」と語る。また同社は、ODAはもちろん国際機関や国内政府機関、民間企業など多様なクライアントの仕事に対応ができる。最近では民間企業の気候関連財務情報開示タスクフォース（TCFD）レポートの開示を支援する事業も行っている。
また新型コロナウィルスに対するPCR検査の自社内検査体制の構築やJICAの課題別研修を遠隔で行う際の技術協力に貢献するなど、コロナ禍での事業推進にも柔軟に対応している。
同社は新卒から中途まで広く門戸を開いており、相手のニーズを把握できるコミュニケーション能力、多様化する課題に幅広い探究心、独りで判断し動ける行動力を持つ人材を求めている。
当社のこれからの海外展開
海洋生態系保全など多様な環境事業展開
海洋調査、海洋環境保全分野に多くの実績と経験を持つ当社は、沖縄に亜熱帯環境研究所を持ち、サンゴ礁やブルーカーボンの固定量が多い海草類の再生・創出のための技術開発や研究を行っています。
当社が所有する世界有数の技術の海外展開を進めており、2022年1月にはJICAの「モーリシャス国統合的沿岸域生態系管理システム構築プロジェクト」に参加し、2020年の重油流出事故による沿岸域生態系への影響を調査しています。今ある生態系を傷つけることなく、かつ環境にも配慮しながら、より強靭で健全な生態系を構築することを目指しています。また、ASEAN諸国のプラスチック循環社会構築事業など、多様な環境事業に取り組んでいます。
社員さんに聞きました
現地でいろんな人に出会い
自然について話ができる
その楽しさが一番の魅力
芳賀章悟さん（海外技術部 技師）
初めての海外は大学3年生のとき。大学のプログラムでスーダンにて乾燥地に生息するマングローブ林の調査に参加しました。現地では食事や水が合わず、辛い経験もしましたが、実際にマングローブ林を踏査し、現地の方たちと話をするのが楽しく、もともと興味のあった環境分野に加えて、海外で働くことを意識するようになりました。海外のフィールドで活躍できる仕事を探しているうちに、当社のことを知り入社を決めました。
モーリシャス国アルビオン水産研究所での協議の様子（2022年度、入社5年目）
現在の仕事の一番の魅力は、自然と共存している現地の人びとと直接的なコミュニケーションができることだと思います。環境と一言で言っても、廃棄物処理や生態系など多くの分野があります。出会う人も考え方も多種多様で、興味は尽きません。
ナイジェリア国廃棄物処分場での調査（2019年度、入社2年目）
最近は環境管理に関する計画作成に携わり、さまざまな意見を吸収しつつアウトプットができることにやりがいを感じています。今後は現在従事しているモーリシャスの案件を含め、世界の生態系管理事業でさらに活躍したいと思っています。
海洋環境調査に関する本邦船上演習（2018年度、入社1年目）
略歴
・19歳：興味ある環境に加えて資源に関する政策や国際文化を学べる秋田大学に入学
・21歳：スーダンでのマングローブ調査を通じて現地の人との交流や海外の面白さを実感
・22歳：環境分野に実績あるいであに入社。１年目でケニアとミャンマーで調査を経験
・23歳：モーリシャスの生態系保全のための調査や環境管理に関する計画作成に携わる
企業データ
・名称：いであ株式会社
・設立：1968年
・資本金：31億7,323万円
・従業員：1,032名（2022年4月1日）
・本社：東京都世田谷区
・海外拠点：イギリス、インドネシア
・海外R＆Dセンター：IDEA R&D Center（タイ）
・グループ会 社（海外事業）： 株式会社Ides（東京都港区）、以天安(北京)科技有限公司（中
国）、中持依迪亜(北京)環境検測分析株式有限公司（中国）、UAE-IDEA Advance Analytical Company Limited（タイ）
・住所：〒154-8585 東京都世田谷区駒沢３-１５-１
・Tel：03-4544-7600（代）
・Mail：recruit-quay@ideacon.jp
『国際協力キャリアガイド22-23』掲載
(本内容は、取材当時の情報です）
