株式会社地球システム科学|国際協力に携わる企業

地球科学の知見で水問題や防災に取り組む

 21世紀は「水の世紀」とも言われ、水不足・水汚染・水紛争などの水問題の解決なくして、世界の平和は訪れないとも考えられている。地球システム科学は、開発コンサルティング企業として、水問題の解決に向け、給水、水資源開発・管理、流域環境管理の事業などに力を入れてきた。

 同社のもう1つの柱は防災事業。地球規模の気候変動や都市への人口集中により、自然災害と被害が増加する傾向にあり、特に開発途上国の貧困層への影響が懸念されている。その対応策として、防災情報・防災教育、砂防・治水事業支援、防災ガバナンスなどを手掛けている。

 これらのベースにあるのが。「地球科学」の知見と、地球で生じる自然現象は地圏・水圏・気圏の3圏が複雑に絡んだ結果と考える「地球システム」の視点だ。同社はその専門性を生かし、アジア、アフリカ、中南米の20カ国以上で、国際協力機構(JICA)による政府開発援助(ODA)事業や、国際機関や途上国政府が発注する事業を精力的に展開している。

 プロジェクトは、地球科学や土木工学を学んだ技術系社員と、組織制度強化、人材育成などに携わる人文系社員がチームを組んで遂行する。

 基本理念は「誠意と挑戦」。異なる文化への理解と関心が深い人の応募を歓迎している。

 なお、同社は2020年4月、国内で道路、都市・交通計画分野に強みを持つ株式会社福山コンサルタントを中核子会社とする株式会社FCホールディングスと資本業務提携し、業容拡大を図っている。

当社の2030年構想

持続可能な水の利用へ
水源開発も管理も支援

 SDGsのターゲット6.1は「2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する」です。しかし、開発途上国では財源不足に加え、給水開発を担う行政組織の経験・能力の問題があります。

 水源開発では、局所的に存在する地下水の開発、地下水資源の保全、地下水源と表流水源の併用など、より高度な技術・ノウハウも必要です。また、給水や排水、農業用水などの全ての水利用者が協力し合い、流域ごとで統合的な水資源管理を行うことが切迫した課題となっています。

 当社は、こうした課題の解決を、ハードとソフトの両面から強力に支援しています。

社員さんに聞きました

スマホのGPSも活用し
GISに道路や危険を記録
優先度明確化で災害抑制

三上創史さん(開発事業部)

三上創史さん(開発事業部)

 大学卒業後、建設コンサルタントのアルバイトやNPOを経験した後、地球システム科学の仕事をするようになりました。

スリランカでの現地調査(左が三上さん)

スリランカでの現地調査(左が三上さん)

 最初の頃は、日本国内での非破壊検査が中心でした。橋などをハンマーで叩き、その衝撃波を分析して健全性を確認したりしていました。最近は海外での仕事も増え、非破壊検査のほか、災害対策のため、ドローンを使った測量や地形分析などを行うようになりました。

ブータンの担当者と打ち合わせ

ブータンの担当者と打ち合わせ

 2018年からブータンで取り組んでいるのは、道路維持管理の能力向上の事業です。地図が整備されていない2つの県を対象に、地理情報システム(GIS)のデータを作成しています。車で道路を走りながら、橋や擁壁の状態をドライブレコーダーで記録し、スマートフォンのGPS情報と合わせて、GISに所在地や構造物の材質、建設年、舗装の有無、擁壁の高さなどを追加していきます。GISデータから地図をつくる方法も指導します。こうした情報により、保守や補修でどこを優先するかを決めることが、災害の被害を抑えることにつながります。

日本国内の橋梁での非破壊検査

日本国内の橋梁での非破壊検査

略歴

・子ども時代:家族がNGOを通じて途上国の子どもを支援。それが当たり前という感覚を持つ
・23歳:日本大学文理学部地球システム科学科卒業。建設コンサル会社でアルバイト
・24歳:地球システム科学で仕事を始める。主に日本国内で非破壊検査や空撮測量に従事
・27歳:社員登用。キルギスやスリランカ、ブータンなどで防災関連の測量なども担当

会社データ

名称:株式会社地球システム科学
設立:1991年
資本金:4,000万円
従業員数:47人(2022年7月現在)
本社:東京都千代田区
海外拠点 : ボリビア、スーダン
住所 : 〒101-0033 東京都千代田区神田岩本町4-14 神田平成ビル8階
Tel : 03-6271-7385
Mail : info@ess-jpn.co.jp

『国際協力キャリアガイド22-23』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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