“地球市民”の養成を目指す
国際学を極める 3 領域と丁寧な指導
地域デザインや観光に特化
2021年4月に新設された東京・あだちキャンパスに、大学院生専用の研究室を構える文教大学大学院国際学研究科。開発途上国・新興国への援助だけでなく、国や地域を超えたグローバルな視点から考えつつ、ローカルな場でよりよい社会を構築・運営できる“地球市民”の養成を目指している。同研究科は、「ディベロップメント・スタディーズ」「市民社会と地域デザイン」「ツーリズム(観光)」という3つの領域において多面的な視野で「国際学」にアプローチする。これらの3領域のうち、「ディベロップメント・スタディーズ」は先進国・途上国という枠を超えて地球規模の課題解決に挑む国際協力や国際交流の専門家を、「市民社会と地域デザイン」は政策立案能力を求められる地方公務員や地域プランナーなどの専門家を養成するのが狙いだ。「ツーリズム」は国際観光産業の担い手の養成を目指す。
カリキュラムは、必修科目の国際学総論と基幹6科目をはじめバラエティに富んだ科目群から成り、各教員のゼミも特色ある授業を用意している。例えば私のゼミでは、現代社会で起こっている事象を捉えたドキュメンタリー映画などを教材にして討論を行うこともある。
希望者は日本国際文化学会認定の文化交流創成コーディネーターの短期集中セミナーに参加したり、国際学関連の学会で発表したりすることもできる。
教育面・金銭面の手厚い支援
同研究科は修士課程のみで、定員5人に対して 16 人の教員が指導にあたる。私が専門とする社会学から経済、環境、国際法、観光、文化人類学まで幅広い学問分野をカバーしており、どのような関心を持つ学生でも指導できる体制を整えている。それだけ「国際学」が扱うフィールドは多彩で、社会のあらゆる面とかかわると言っても過言ではない。
留学生もおり、特に中国人が多い。教員など社会人経験を持つ学生も毎年1~2人は入学してくるが、そうした学生たちは「教育を国際学の中でどう位置づけるか」「気候変動、平和構築などグローバルな難題をどう解決するか」といった強い問題意識を持っており、研究にも熱心だ。対話することで意外な視点に気づいたり、研究のヒントを得たりすることもあるだろう。
学生たちに研究に集中してもらうため、われわれもサポートを惜しまない。例えば論文の執筆にあたっては、1年目は主指導と副指導の2人体制で指導を行い、2 年目には3人の教員がつく。年2回の中間発表会では全教員から助言を得られるなど、16 人の教員が一丸となって一人の院生を育てる形だ。
金銭的支援も充実している。特に私費外国人留学生に対する支援制度が2種類あり、春と秋の年2回募集する。私費外国人留学生に対する奨学金を用意しており、返済の必要がない給付型奨学金だ。学会発表の際の参加費も大学院側が出すなど、かなり手厚い支援を行っている。
現代世界を覆う根源的な問いや市民社会のあり方、グローバルに世界をつなぐツーリズムなどに目を向けて研究する人が集う国際学研究科。自分の足元を見つめるローカルな視点も重視しながら、多角的な視点で個々の研究を突き詰め、国際協力に貢献したい人を歓迎している
Student’s Voice/学生の声
多分野にかかわるジェンダー論を追究
祖国の中国で高校を卒業し、2016 年に来日しました。日本の観光会社で働いていた姉の影響もあって、以前から観光に興味を持っていました。しかも、当時の日本は東京オリンピックを間近に控えていた(2020年に開催予定だったが、新型コロナ禍の影響で 1 年延期)こともあって、外国人観光客によるインバウンド需要の期待が高まっていたのです。
日本語学校で学んだ後、文教大学国際学部に国際観光学科があることを知って 2018 年に入学。社会学ジェンダー論を専門とする椎野先生のゼミに入り、授業を受けるうちに、ジェンダー平等が観光を含めて、社会のさまざまな面とかかわる重要な課題であることに気づきました。椎野先生の指導を受けて研究を深めたいと考え、同学の大学院に進学しました。
研究テーマに選んだのは、国連教育科学文化機関(UNESCO)が作成した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』を基盤とした世界諸国のセクシュアリティ教育政策の分析です。ジェンダー平等にかかわる多くの観点や問題を科学的見地から取り上げ、各国の事情に配慮して性教育ができるようになるための提言で、例えば日本や中国で、同ガイダンスを参照してどのような性教育政策を実施しているか、研究しています。
修士課程を修了後、日本で就職したいと考えています。ツアーガイドなど観光関連の仕事に就き、日本の観光資源やマナーの良さについて外国人観光客と日本の架け橋になる仕事に就ければいいですね。
国際学研究科 教員一覧(2023年6月現在)
・阿野幸一(教授):英語教育学、英語教員養成、英語教員研修
・奥田孝晴(教授):国際学、アジア経済論
・海津ゆりえ(教授): “エコツーリズム、サステナブル・ツーリズム、観光まちづくり”
・久保庭慧(専任講師):国際法、国際文化遺産法
・小島克巳(教授):交通経済学、公益事業論
・椎野信雄(教授):社会学
・清水麻帆(准教授):地域経済学、文化経済学、地域政策論
・菅原周一(教授):ファイナンス
・杉浦功一(教授):政治学、国際関係論、平和学
・孫美幸(准教授):日・韓の平和教育、多文化共生教育
・種村聡子(准教授):ホスピタリティ・マネジメント、人材育成、人的資源管理
・中井治郎(専任講師):社会学
・黛陽子(准教授):環境コミュニケーション、環境情報、インタープリテーション、情報デザイン、国際協力
・山田修嗣(教授):社会学
・渡邉暁子(准教授):東南アジア地域研究、文化人類学
・渡邊三津子(准教授):地理学、地域研究
2024年度 国際学研究科国際学専攻 修士課程 入試日程
1期
・出願期間:9月19日(火)~9月28日(木)<消印有効>
・試験日:10月7日(土)
・合格発表日:10月13日(金)
・入学手続締切日:10月24日(火) <消印有効>
2期(国外募集)
・出願期間:10月16日(月)~10月27日(金)<必着>
・試験日:出願締切後、受験者に個別に通知します。
・合格発表日: 12月1日(金)
・入学手続締切日: 12月13日(水)<消印有効>
3期
・出願期間:2024年2月1日(木)~2月9日(金)<消印有効>
・試験日:2024年2月24日(土)
・合格発表日: 2024年3月1日(金)
・入学手続締切日: 2024年3月8日(金)<消印有効>
問い合わせ
・名称:文教大学 入試課東京あだちオフィス
・所在地:〒121-8577 東京都足立区花畑5-6-1
・TEL:03-5686-8577(代)
※(月曜~金曜9:00~17:00。土・日・祝日を除く))
・HP:文教大学ホームページ(入試情報)