大学の国際化最前線|関⻄SDGsプラットフォーム大学分科会|国際協力が学べる大学・大学院

世界と連携しSDGsに取り組む大阪・関西万博にも注力

 

関西の大学30校などが集まる分科会

 持続可能な開発目標(SDGs)の達成期限が2030年に迫る中、日本の大学も目標達成のため、その役割を加速度的に拡大させている。

 関西地域で2020年に始まったのが、「関西SDGsプラットフォーム大学分科会(以降、大学分科会)」だ。教育や研究を通じてSDGs達成に貢献することを目指している。関西地域の民間企業、市民社会、NPO・NGO、大学・研究機関、自治体・政府機関などが協働しSDGs達成に取り組むため、2017年設立の「関西SDGsプラットフォーム」の分科会の一つだ。

 大学分科会を構成するのは大阪大学、大阪公立大学、神戶大学、関西学院大学、関⻄大学、甲南女子大学、同志社大学、立命館大学を中心とする関西地域の30大学・専門校、そして、民間企業や学生団体などの多様なアクターだ。「分科会の目的には、教育・研究・社会貢献など大学の果たす役割や機能を中心に産官学民の多様なアクターと協働し、SDGsを巡る課題解決に具体的に取り組むことが挙げられる。アカデミアに限らず、広く社会に開かれた取り組みにすることが重要だ」と、分科会運営に携わる大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)の田和正裕教授は説明する。今後、SDGsの達成や、ポストSDGsに向けた議論や活動に取り組むため、関西地域だけでなく全国の教育機関、民間企業、自治体などとの連携を拡大する構えだ。

若者の活躍促進に注力

 分科会は、世界各国との共創も目指している。きっかけとなると目されるのが「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに掲げる2025年開催予定の大阪・関西万博だ。“SDGs万博”を目指すこの万博を通じて、全国の大学や企業、自治体などとの連携を深めるため、分科会による「万博大学連合イニシアティブ」が7月に発足。7月24日にはキックオフイベントも実施された。「万博まで1,000日。私たち大学・若者は何をしたいのか、すべきなのか、できるのか」をテーマに、SDGs達成に取り組む日本の大学、学生やユースグループ、英ロンドン大学学生の団体や国内外で活躍する学生起業家が参加。代表者らは活動状況や万博への期待など熱い思いを共有した。オンラインでもライブ配信され、会場と合わせて300人以上が参加した。

 分科会は、万博を機にSDGs達成とポストSDGsを見据え、世界中の大学と学生や若者の自発的活動や社会への研究成果の認知と活用を推進する。若者たちがSDGsへの取り組みや、万博イベントに携わる機会も拡大させる予定だ。万博やSDGs達成期限が迫る中、「より良い世界の創造」に関心ある若者の活躍の幅も広がりそうだ。

※グローバル化の時代、大学・大学院など高等教育の現場でも国際化が進んでいます。このコーナーでは、アジアをはじめ世界とのさまざまな「知的交流」に向けた取り組みや国際協力を学べる大学を紹介します。情報提供お待ちしています。

 

『国際開発ジャーナル2022年10月号』掲載

(本内容は、取材当時の情報です)

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