PROJECT FOCUS
パキスタン

<無償資金協力>
 
  

農村部の女子教育の普及・改善を目指して

  
 

 

パキスタン
シンド州北部農村部女子前期中等教育強化計画

コンサルティング:マツダコンサルタンツ(株)

 

 パキスタンの教育指標は南アジア諸国の中でも最低位である。同国最大の都市カラチを擁し、経済・金融の中心であるシンド州においても、前期中等教育(6~8学年)の純就学率は34%(2013/14年度)に過ぎない。全国平均の21%を上回るものの、女子に限れば17%である。さらに同州の農村部では、この学齢の女子純就学率がわずか6%しかなく、女子教育の普及、都市部との教育格差の改善は喫緊の課題となっていた。
 シンド州政府は、既存の女子初等学校の一部に前期中等学校を併設して通学を容易にする対策を自力で行い、同時に、日本政府に対しても支援を要請した。それを受けて、国際協力機構(JICA)は同州を南北に分けた2つの案件としてコミュニティ開発支援無償資金協力で支援することを決定した。本案件に先行して、南部の6県の学校建設が実施されている。
 本案件は同州北部6県の女子初等学校が対象である。プロジェクトの内容としては、まず25校の女子初等学校のうち老朽化の著しい6校を建て替え、前期中等学校との併設校に変えた。そして残りの19校も、同様に女子前期中等学校の校舎を新設し、併設校とした。太陽光発電システムを設置し、イスや机、パソコンといった機材も揃え、女子児童の姿が外から見えないように校舎は塀で囲っている。こうした支援によって、従来は100人ほどだったシンド州北部の前期中等教育の女子生徒数が、21年には2,000人を超えると期待されている。なお、本案件は、コミュニティ開発支援無償資金協力としてはアジアで最後のプロジェクトとなった。今後は新しいスキームに引き継がれていく。

『国際開発ジャーナル』2019年7月号掲載

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