写真:ザンビアの銅山で研修中のOSIPP生
大阪大学大学院 国際公共政策研究科(OSIPP)
3方向のアプローチで問題解決
大阪大学大学院の国際公共政策研究科(OSIPP)は、法学・政治学・経済学の知識を総合的に学び、国際社会における諸問題に対して公共性を重視した解決策を提示できる人材の育成を目指し、1994年に設置された。入学する学生の研究課題は貧困やジェンダー不平等、環境破壊、紛争やテロリズムなどさまざまだ。これらの公共課題の解決には分野横断的なアプローチが必要となるため、OSIPPでは多角的な視点と高いコミュニケーション能力、優れたリーダーシップを備えた公共政策の専門家の養成に取り組んでいる。 OSIPPには北米・中南米、欧州、アジア、中東、アフリカなどさまざまな地域からの留学生が在籍し、国際色豊かな環境で学べる。「授業以外にも、学生同士が気軽に話せる場を設けている」と、ヴァージル・ホーキンス准教授は語る。 重視しているのは、実践的な学びだ。「学生たちは、もともと海外で活躍したいという意欲が強い。われわれも国際機関でのインターンや外務省のジュニア・プロフェッショナル・オフィサー(JPO)への応募を積極的に勧めており、ここ数年、外務省の担当者やJPO経験者を招いてセミナーを行うのも恒例になっている。毎回、100人もの学生が集まるほど人気だ」と、中内政貴准教授は話す。
リーダーシップのあり方を学ぶ
海外インターンシップに対しては、研究科として助成を行っており、毎年多くの学生が国際機関や国際協力機構(JICA)などでのインター ンシップに参加している。また、ダブルディグリー制度としてフィリピン、オランダの大学との連携や、教員が携わっている海外でのプロジェクトや国際会議に学生を参画させるなど、学生が海外に飛び出す機会を豊富に用意している。大阪大学全体としても交換留学、研究留学、国際会議発表に対する助成プログラムを提供しており、OSIPPからこれらを活用して海外に活躍の場を広げる学生も多い。 2007年からは、「グローバルリーダーシップ・プログラム(GLP)」も運営・実施している。企業やNPOとパートナー協定を結び、企業の役員を講師に迎えて、学生にリーダーシップのあり方を伝授するものだ。協定を結んだ企業の中には、(株)パソナグループや住友化学(株)などがある。大阪大学の学生なら誰でも受講できる。またGLPなどが母体となり、NGOが運営する国際的な大学対抗交渉コンペティション(INC)も生まれた。大阪大学の学生は、こうした場を通じて公共政策課題を解決する上で欠かせない交渉術も学ぶ。「学生には世界を多様な側面から理解し、より良くしようという意欲のある『地球人』になって欲しい」と、ホーキンス准教授は熱く語った。
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