<青年海外協力協会(JOCA)>

ガーナで理科の授業を行う青年海外協力隊員。協力隊の任地を訪問し、活動や生活の状況を確認するのも企画調査員(ボランティア事業)の業務だ

  

 POINT 
 ・農業農村開発のリーディング・カンパニー
 ・経済や社会の専門家も積極的に登用
 ・創業者の熱い思いを受け継ぐ

 

国内外で事業展開

 公益社団法人青年海外協力協会(JOCA)は1983年に社団法人として発足して以来、海外協力活動で培われた行動力、技術力および精神力を地球規模の課題や日本の地域社会が直面する課題解決に活用し、世界平和に貢献するという志を掲げて、国内外で幅広い事業を展開している。ひとつは青年海外協力隊をはじめとするJICAボランティア事業支援だ。ボランティアの募集・選考、派遣前訓練と、企画調査員(ボランティア事業※)によるボランティア活動支援、帰国後のOB会活動支援などがある。同会は協力隊事業の「入口から出口まで」を支援する国内唯一の組織である。海外で展開する事業やスタディーツアーの同行で海外出張する機会もあり、海外で大規模災害が発生した際に国際緊急援助隊(JDR)の一員として被災地で活動することもある。国内ではグローバル人材の育成に注力し、東京都教育委員会と共同で教員や学生へ国際理解教育やワークショップを実施したり、海外からの研修員や学生を受け入れ、日本国内を案内するコーディネート業務を担ったりしている。また、近年は東日本大震災で復興支援に取り組んできた東北地方をはじめ、全国5カ所で新しい〝まちづくり・人づくり〞を進める地方創生事業にも着手し、協力隊経験を社会に還元している。

 

新卒者採用を開始

職員の雇用については、従来は帰国隊員を中心に進めてきたが、最近は地方創生事業の中で、協力隊経験はないが専門性を有する職員の中途採用を進めている。今年度は組織が発足して以来初の新卒者採用も開始。内部で育成した人材が活躍していく組織へと変化を遂げている。来年度以降も新卒採用を進めるとともに、30歳以下の若手の採用を積極的に進め、組織力の向上を図っていく。国際協力機関の雇用形態は中途採用による契約ベースが多数を占めるが、JOCAでは新卒採用の段階から国際協力のキャリア形成ができる点が他組織にない強みとなっている。そのひとつが青年海外協力隊への現職参加である。派遣前にJOCAで国際協力に関するノウハウを学んだ後に現職参加し、現地での協力隊活動を経て、帰国後はその経験を同会の事業に生かす仕組みだ。また、JOCAの人材育成のひとつに「キャリアパス制度」がある。3年に一度のジョブローテーションによって、さまざまな職務・現場を経験しながら、国内外に通用する人材を育成する仕組みが制度化されている。それぞれの希望に応じて、企画調査員(ボランティア事業)などの在外勤務も可能だ。近年は職員の働きがいの向上にも注力し、ワークライフバランスを重視した取り組みを進めている。例えば、フレックス勤務(時差出勤)制度や長期休暇制度(最長2週間の連続休暇制度)・時間休暇制度など、職員の自主性を重んじた勤務体系を導入。勤務中の服装も自由とし、個性を重視した協力隊経験者ならではのユニークな取り組みによって、働きやすい職場環境を実現している。こうした取り組みこそ〝JOCAらしさ〞であり、国内外で推し進める事業とともに、働きがいのある組織を形成している。

 

企画調査員を目指すセミナー開催

JICA 海外拠点で青年海外協力隊、シニア海外ボランティアなどJICA ボランティアの活動支援、安全管理、新規派遣に向けた調査、関係機関との連絡・調整といった業務を担う企画調査員(ボランティア事業)。この仕事を目指す方を対象に、JOCA は経験者によるセミナーを開催している。「パートⅠ:入門編」は企画調査員に関心がある方、応募を検討中の方向けに毎年6 月と12 月、東京と大阪で開催。「パートⅡ:実践編」は一次選考試験に合格した方を対象に面接の心構え、適性検査など二次選考試験対策をサポートする。同じく8 月と3 月に開催予定。詳しくはホームページで確認のこと。http://www.joca.or.jp/

協力隊経験を地方創生に生かす~宮城県岩沼市

2015 年8 月、JOCA は東日本大震災からの復興が進む宮城県岩沼市と「まち・ひと・しごと創生に関する協定」を結んだ。被災者の集団移転先の新しいまちづくりを後押しすべく、地域活性化の拠点づくりとして、津波によって住めなくなった地域で羊の放牧管理を通じた景観改善に取り組んでいる。がれきの撤去や牧場の柵づくりなどは地域の住民との協同作業。住民が主体となって新たな町を作り上げる仕組みは、途上国で培った住民目線の活動がベースとなっている。同地域では、高齢者や障がい者など多様な人がつながり合う地域づくりを目指しており、保健師やコミュニティ開発、ソーシャルワーカーなどとして活動した元協力隊員たちが、海外での経験を生かして日本社会が抱える課題に向き合っている。

 

<Company Data>

(公社) 青年海外協力協会JAPAN OVERSEASCOOPERATIVEASSOCIATION(JOCA:ジョカ)
代表者 会長 冨永純正
〒102-0082
東京都千代田区一番町23-3 千代田一番町ビル 5階
TEL 03-6261-0261(代)

 

『国際協力キャリアガイド2017-18』掲載

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