「長崎大学大学院 熱帯医学・グローバルヘルス研究科」
先生に聞きました!
熱帯医学・グローバルヘルス研究科 教授 クリス スミス先生
本学では、日本で唯一熱帯医学・衛生学ディプロマコース(DTM&Hコース)を提供しています。コースの目的は、熱帯地域の途上国における適切な診断・診療を行うための知識や技術の習得です。3カ月のコースですが、座学による基礎学習だけでなく、フィリピンでの研修の機会も提供しています。修了者には、途上国で医療活動に従事する上で必須となりつつある米国や英国の熱帯医学会認定資格試験の受験資格が与えられます。修了証授与は医師免許取得者のみですが、看護師や医療現場での活動経験者でも受講可能です。私も臨床医としてアジアやアフリカでの勤務経験があります。そこで実感したのが、途上国では“一般的な医療知識”だけでは不十分なこと。熱帯地域の社会環境に特化した医学や衛生学の知識、そして限られたリソースを適切に活用する経験を提供するこのコースは、途上国の現場で即戦力となる人材の輩出を目指しています。将来、国際医療機関や医療NGOなどへの就職を目指す人にも、ぜひこのコースに参加してもらいたいですね。
学生さんに聞きました!
熱帯医学・グローバルヘルス研究科博士前期課程修了 医歯薬学総合研究科 博士課程1年 ムカディ カコニ パトリックさん
私は、母国コンゴ民主共和国(DRC)でしばしば大規模な集団感染を起こす人獣共通感染症である「レプトスピラ症」などの感染症対策につながる公衆衛生や保健政策を研究するため、2018年、博士前期課程に入学しました。もともとDRCの感染症対策機関である「国立生物医学研究所」でウイルスの研究に携わってきましたが、感染拡大を防ぐためにはウイルスのメカニズムだけではなく、公衆衛生学や保健政策の知識が必要と感じ、DRCでも日本トップクラスの感染症研究機関として知られる長崎大学に入学することを決めました。2020年に修士号を取得し、保健政策の研究を進めるため、現在博士課程に在籍しています。長崎大学にはアフリカやアジアから多くの学生が集まっています。学生のほとんどは、それぞれの国の医療や公衆衛生の従事者です。授業では学生間のディスカッションが重視されており、ディスカッションを通じて各学生の経験や知見が共有されます。私もDRCにおけるエボラ出血熱対策を発表する機会を多くいただきました。日本の学生にとっては、途上国での感染症対策最前線の取り組みを学ぶ貴重な機会となっているようです。留学生の私たちにとっても、さまざまな感染症を克服してきた日本の経験や充実した保健制度から学ぶことは多いです。異なる背景や知見を持つ学生による相互の学びが、長崎大学における学びをより豊かなものにしていると感じています。
(本内容は、取材当時の情報です)
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